1976年の広島東洋カープ

1976年の広島東洋カープは、古葉竹識監督が指揮を執って2年目のシーズンを迎えました。前年に球団史上初のセ・リーグ優勝を達成したチームは、この年、さらなる高みであるリーグ連覇を目指して船出しました。

しかし、シーズン序盤は厳しい現実が待ち受けていました。開幕戦を引き分けた後、まさかの5連敗を喫するなど、スタートダッシュに完全に失敗します。特に4月18日には、読売ジャイアンツの加藤初投手にノーヒットノーランを許す屈辱も味わいました。開幕からわずか10試合で記録した勝利はわずか1つという、予想外の大幅な出遅れとなりました。

苦しい序盤を乗り越え、チームは5月に入ってようやく上昇気流に乗ります。この月には5連勝を記録し、順位をようやく3位まで上げることができました。しかし、当時のセ・リーグは巨人と阪神が激しい優勝争いを繰り広げており、その間に割って入るほどの勢いはまだありませんでした。7月下旬頃までは、勝率が5割前後を行き来する、苦しい戦いが続きました。

転機が訪れたのは8月です。チームはこの月に7連勝を記録するなど大きく調子を上げ、一時は首位を走る巨人に4ゲーム差まで肉薄しました。前年優勝チームとしての底力を見せつけ、ファンは再び連覇への期待感を高めました。

ところが、連覇への望みは無情にも打ち砕かれます。9月に入るとチームは突然失速し、9月1日から悪夢のような11連敗を喫してしまいました。これまでに積み上げてきた貯金はすべてなくなり、優勝争いから完全に脱落してしまいました。さらに、10月16日には本拠地である広島市民球場で、巨人にペナントレースの優勝を決められるという、前年とは逆の立場で相手チームの歓喜を目撃する悔しい経験をしました。

シーズン終盤、チームは意地を見せます。最後の7試合をすべて勝利し、見事に借金を返済しました。最終的なシーズン成績は貯金3となり、辛うじて勝ち越しでシーズンを終えることができました。

個人成績では、投手陣では池谷公二郎投手が素晴らしい活躍を見せ、20勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得しました。これは、広島の投手としては3年連続で20勝かつ最多勝を達成した投手が出るという快挙でした。しかし、チーム全体の投手陣を見ると、チーム防御率は前年の2.96から4.02へと大幅に悪化しており、課題も残る結果となりました。

一方、打撃陣は前年首位打者の山本浩二選手を中心に、衣笠祥雄選手やゲイル・ホプキンス選手といった主砲たちが躍動しました。その結果、チーム打率はリーグ2位、チーム本塁打数もリーグ3位を記録するなど、攻撃力においては高いパフォーマンスを見せました。

1976年シーズンは、連覇を目指しながらも開幕直後の大失速、中盤の粘り、そして終盤の大型連敗による失速と、波乱の多い一年となりました。投手陣には課題が見られたものの、強力な打線と池谷投手の活躍は明るい材料であり、次なるシーズンへの期待を抱かせる部分も多く見られたシーズンと言えるでしょう。

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