1977年の世界ラリー選手権

1977年の世界ラリー選手権は、FIAが主催する世界ラリー選手権シリーズの第5シーズンにあたります。この年は、前年までの10戦から1戦増えて全11戦が開催され、世界中のラリーファンを熱狂させました。

カレンダーの変更点としては、モロッコラリーが姿を消し、代わりにカナダのケベックラリーとニュージーランドラリーが新たにシリーズに加わったことが挙げられます。これにより、選手権はより多様で、挑戦的なものとなりました。

このシーズンの大きな特徴は、マニファクチャラーズ選手権における激しい争いです。前シーズンまで4連覇を達成していたランチアは、社内での問題を抱えており、タイトル防衛に苦戦を強いられました。その隙を突くように、フィアットが台頭し、フォードとしのぎを削る接戦を繰り広げました。両チームは、高度な技術と優れたドライバーを擁し、それぞれのマシンを限界まで酷使しながら、優勝を目指して激しく競い合いました。

1973年から1978年までのWRCでは、マニファクチャラーズ選手権のみが争われていました。しかし、1977年シーズンより、ポイントシステムが大幅に変更されました。それまでのシンプルなポイント制から、総合順位とグループ順位の両方を考慮に入れる、より複雑なシステムへと進化しました。この変更により、チームは戦略的な判断を迫られ、より緻密なレース運びが求められました。

さらに、この年からFIAは、ドライバーズ選手権としてFIAカップを新設しました。これは、WRC全戦の結果に加えて、選抜された10イベントの結果もポイントに反映するという、当時としては画期的なシステムでした。ドライバーたちは、WRCのみならず、他のラリーイベントでも好成績を残す必要があり、より幅広い戦いが求められました。このFIAカップは、1979年には現在のWRCドライバーズ選手権へと発展することになります。

1977年シーズンの世界ラリー選手権は、カレンダーの変更、メーカー間の激しい争い、そして新たなドライバーズ選手権の導入など、多くの変化と盛り上がりを見せたシーズンでした。これらの要素が複雑に絡み合い、非常にエキサイティングなレース展開を生み出し、多くの記憶に残る名勝負が生まれた年として、ラリー史に刻まれました。 ランチアの不振、フィアットとフォードの接戦、そしてFIAカップの創設という、様々な要素が絡み合った1977年シーズンは、世界ラリー選手権の歴史における重要な転換期となったと言えるでしょう。今後のWRCの発展に大きな影響を与えた、重要な1年でした。

このシーズンの詳細な結果やランキングについては、rallybase.nlなどのウェブサイトで確認できます。

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