1978年のラジオ (日本)

1978年は、日本のラジオ放送にとって技術革新とインフラ整備が進んだ、記憶に残る一年となりました。

最も注目すべき出来事の一つは、国内AMラジオ局の周波数が世界的に一斉に変更されたことです。この変更は、夜間における国際的な放送混信を避けるための対策として、国際電気通信連合（ITU）の勧告に基づいて行われました。AM放送帯域内の送信チャンネルの間隔を、従来の10キロヘルツから9キロヘルツに変更することで、より多くのチャンネルを確保することが可能となったのです。南北アメリカ大陸を除く全世界で同時に実施されたこの大規模な変更は、日本では11月23日の午前9時01分に実施されました。これに先立ち、多くの放送局では、放送終了と開始の切り替え時間を迎えた午前5時00分から周波数変更後の「試験放送」を開始し、本運用に備えました。

技術面では、NHK-FM放送が東京、名古屋、大阪の主要3局を結ぶPCMデジタル回線を開通させたことも特筆されます。これにより、これらの主要都市間で初めて高品質なステレオ放送の同時放送が可能となり、音楽番組などの放送品質が飛躍的に向上しました。このPCM回線網は、その後1984年までに全国へと拡大されることになります。

また、インフラ面では、NHKラジオ第2放送が札幌の送信所において、送信出力を100キロワットから500キロワットへと大幅に増力しました。これは、既に1971年の秋田、1972年の熊本で実施されていた出力増強に続くもので、夜間の外国電波による混信被害を軽減し、難聴地域を解消することを目的としていました。

放送局の動きとしては、スポーツ中継における連携も見られました。ラジオ関西が、当時ラジオ関東（現：アール・エフ・ラジオ日本）が独占中継していた読売巨人軍のナイター中継をネットすることを発表しました。また、日本短波放送は、この年、「ラジオたんぱ」という親しみやすい愛称を正式に決定しています。

地域に根ざした活動も展開されました。岩手放送（現：IBC岩手放送）は、開局25周年を記念する事業として、「岩手百科事典」を刊行し、地域の情報発信におけるラジオ局の役割を示しました。

番組編成においても、様々な動きがありました。長寿番組の節目として、CBCラジオの「ラジオ朝市」が放送2000回を迎えました。また、開局記念や特定のテーマに沿った特別番組も数多く放送されました。例えば、ラジオ大阪は開局20周年記念番組を放送し、熊本放送や南日本放送はチャリティ・ラジソンを実施しました。さらに、民放53社が共同で企画し、48社が同時放送を行った「きみはUFOを見たか?〜子どもの未来の詩」のようなユニークな企画も生まれました。その他、NHK、文化放送とTBSラジオ、ニッポン放送が同時ネットした番組、MBSラジオの防災特別番組など、多彩なテーマの特別番組が制作・放送されました。

1978年には、多様な新番組も数多くスタートしました。NHKでは「おはようジョッキー」や「スポーツトピックス」、そして後に多数の番組が開始される11月の改編がありました。民放では、東京放送（TBSラジオ）の「久米宏の土曜ワイドラジオTOKYO」や「榎さんのおはようさん〜!」、ニッポン放送の「玉置宏の笑顔でこんにちは!」、文化放送の「青春大通り」、そしてMBSラジオの「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」など、後に広く知られる番組が登場しました。また、FM東京では「昼のスカイスタジオ」や「翔べ光の中へ」が始まり、幅広いジャンルや時間帯で新しい番組がリスナーに届けられました。

一方で、多くの番組が終了を迎えました。文化放送の「ダイナミックレーダー〜歌謡曲でいこう!〜」や、東京放送の「榎さんのお昼だよ〜!」などが、歴史に幕を閉じました。これらの番組の新旧交代は、ラジオが常に時代の変化に対応しようとしていた証でもあります。

1978年は、AMラジオの周波数変更というインフラの根本的な変革期であると同時に、技術的な進化、そして番組内容の多様化が進んだ、日本のラジオ史において重要な位置を占める一年だったと言えるでしょう。

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