1979年フランスグランプリ

1979年フランスグランプリ：ターボ時代到来と伝説の2位争い

1979年7月1日、フランスのディジョン・プレノワ・サーキットで開催されたフランスグランプリは、F1の歴史に大きな足跡を残すレースとなりました。このレースは、単なるグランプリレースの枠を超え、技術革新とドライバーのドラマティックな戦いによって、多くのファンに語り継がれる伝説的な一戦となりました。

3つの大きなトピック

このレースは、主に以下の3つの出来事が大きな注目を集めました。

1. ターボエンジンのF1初優勝: ルノーRS10が、ターボチャージャーを搭載した車両として初めてグランプリレースを制覇しました。1977年からF1に参戦を開始したルノーにとって、3年目の快挙となりました。この勝利は、F1におけるターボエンジンの時代を幕開けさせ、1988年にターボエンジンが禁止されるまで、F1の主流エンジンとして君臨することになります。

2. 完全フランスチームによる勝利: 優勝したルノーRS10は、ドライバーのジャン＝ピエール・ジャブイーユをはじめ、車体、エンジン（ルノー・ゴルディーニ・EF1）、燃料（エルフ）、タイヤ（ミシュラン）に至るまで、全てがフランス製でした。フランス人ドライバーによるフランスGP制覇は1948年以来、フランス車による制覇は1969年以来の快挙であり、ルノーにとっても1906年以来2度目のグランプリ優勝となりました。さらに、表彰台をミシュランタイヤを履いた車両が独占したのも、このレースが初めてでした。

3. ヴィルヌーヴとアルヌーによる伝説の2位争い: 決勝レース終盤、ジル・ヴィルヌーヴとルネ・アルヌーによる熾烈な2位争いは、観衆11万人以上を熱狂の渦に巻き込みました。わずか0.25秒差という接戦は、F1レース史の中でも語り継がれる名勝負となり、ヴィルヌーヴ自身も「グランプリレースにおける私の最高の思い出」と振り返っています。

レース展開

予選ではルノー勢が圧倒的な速さを見せ、ジャブイーユがポールポジション、アルヌーが2番手グリッドを獲得しました。しかし、ルノーのターボエンジンはブースト圧が立ち上がるのに時間がかかるという特性があり、スタートでは不利な状況にありました。

スタート直後、3番手グリッドからスタートしたヴィルヌーヴが首位に立ち、ジャブイーユ、シェクターが続く展開となりました。アルヌーはスタートでタイヤ空転に苦しみ、オープニングラップで9番手まで順位を落としましたが、その後猛追撃を見せ、15周目には3番手にまで浮上しました。

ヴィルヌーヴは序盤からハイペースで走り、大きなリードを築きましたが、ペースが速すぎたためにタイヤを消耗してしまいました。一方、2番手を走っていたジャブイーユはヴィルヌーヴとの差を徐々に縮め、46周目の最終コーナーでヴィルヌーヴが周回遅れのデ・アンジェリスを処理している隙にオーバーテイクし、首位に立ちました。

ジャブイーユはその後ヴィルヌーヴを突き放し、ヴィルヌーヴは2位を守る走りへとシフトしました。一方、アルヌーは71周目からヴィルヌーヴに追いつき、息詰まる2位争いが始まりました。

78周目と79周目の1コーナーでは、両者が何度も抜きつ抜かれつの激しいバトルを繰り広げました。ファイナルラップでも激しい攻防が続きましたが、ヴィルヌーヴがタイヤ摩耗によるリアのスライドをコントロールしつつ、アルヌーを抑え込み、2位を守りきりました。レース後、両者は互いに健闘を称え合う姿を見せました。

ジャブイーユは、首位を快走していましたが、終盤にブレーキトラブルに見舞われながらも、初優勝を飾りました。しかし、酷使した脚のために自力でマシンから降りることができず、サポートを受けながら表彰台へと向かいました。

まとめ

1979年フランスグランプリは、ターボエンジンの時代到来を告げるとともに、ドライバーたちの熱い戦いを象徴するレースとなりました。技術革新と人間のドラマが融合したこのレースは、F1の歴史に深く刻まれた、忘れがたい一戦と言えるでしょう。そしてこのレースは、ルノー、そしてF1という舞台におけるターボエンジンの大きな転換点となったのです。

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