1981年の広島東洋カープ

1981年の広島東洋カープ

1981年の広島東洋カープは、古葉竹識監督体制のもと、前年までのリーグ連覇に続き、球団史上初の3年連続セントラル・リーグ優勝を目指したシーズンでした。しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。

シーズン開幕前には、長年チームの守護神として君臨した江夏豊投手をトレードで放出しており、その影響が懸念されていました。さらに、春先からチームをアクシデントが襲います。レギュラー定着が期待されていた若手の山崎隆造選手が、オープン戦中に外野フェンスへ激突し、無念のシーズン絶望となりました。追い打ちをかけるように、開幕直後には、機動力野球の要であり、2年連続で盗塁王を獲得していた高橋慶彦選手が右膝の故障で戦線離脱。主力の相次ぐ離脱により、チームは開幕から波に乗ることができず、スタートダッシュに失敗します。

5月半ばには高橋慶彦選手が戦列に復帰し、チーム成績は徐々に上向き始めましたが、この時点で既に読売ジャイアンツが首位を快走し、頭一つ抜け出していました。6月以降、カープは他の多くのライバル球団と同様に、勝率5割ライン近辺で伸び悩む状況が約2ヶ月間続きました。首位を独走するジャイアンツとの差は開く一方でした。

しかし、潮目が変わったのは8月に入ってからです。打線では、衣笠祥雄選手が2番打者として固定されると、チーム全体が勢いを増し始めます。特に9月以降、カープは驚異的な粘りを見せ、21勝6敗という圧倒的な成績を収め、一気に貯金を15積み重ねました。この猛追により、遂に順位を2位まで押し上げることに成功しました。

残念ながら、序盤の出遅れが響き、ジャイアンツとの差を詰めきることはできませんでした。最終的に2位でシーズンを終え、惜しくも3年連続のリーグ優勝、そして日本シリーズ進出はなりませんでした。

チームの打撃陣はリーグ屈指の破壊力を見せつけました。山本浩二選手が本塁打と打点の二冠を獲得したのを筆頭に、ジム・ライトル選手、衣笠祥雄選手もそれぞれ30本塁打以上を記録。チーム全体の打率、本塁打数ともにリーグトップの成績を収めました。一方で、機動力には課題が残りました。主力の高橋慶彦選手が長期離脱した影響は大きく、復帰後も盗塁数は14個に留まり、チーム全体の盗塁数もわずか14個でリーグ最下位に沈みました。

投手陣では、北別府学投手がチーム最多の16勝を挙げるなど、4人の投手が二桁勝利を達成しました。しかし、懸念された救援陣は前年ほどの安定感を得られませんでした。江夏投手とのトレードで加入した高橋直樹投手はわずか2勝と期待に応えられず、新たな抑え役となった大野豊投手も11セーブに留まりました。

シーズン終了後には、かつてチームのエースとして一時代を築いた安仁屋宗八投手がこの年限りで現役を引退しました。

この年のオールスターゲームには、カープからの出場選手は全員が監督推薦による選出でした。また、シーズン中の珍しい出来事として、7月19日の横浜大洋ホエールズ戦（横浜スタジアム）で、ジム・ガードナー選手が放ったホームランが、ホームベースの踏み忘れにより取消しとなり、記録が三塁打に変更されるという場面がありました。

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