1982年自由民主党総裁選挙

1982年自由民主党総裁選挙の詳細

1982年11月24日に開催された自由民主党の総裁選挙は、日本政治における重要な出来事となりました。この選挙は、鈴木善幸首相が当初再選されると広く信じられていましたが、意外にも彼は不出馬を表明し、波乱の展開を迎えました。

総裁選の経緯

1982年の9月28日、自由民主党の総裁選挙管理委員会は選挙日程を発表しました。その後、10月1日に鈴木首相は中国を訪問後、帰国します。10月2日付けの読売新聞では「鈴木、再選固まる」との見出しが躍り、鈴木の再選が確実視される状況が形成されました。

しかし、10月12日午後3時、鈴木は党の主要幹部を総理官邸に呼び、突然不出馬を発表しました。このニュースは党内外に衝撃を与え、その夜、田中角栄は記者会見を開いて後継者として中曽根康弘を指名する意向を示しました。

鈴木派の一部幹部、特に田中六助が調整役となり、田中派内部の異論を鎮めるため、「おやじが白だと言えば、黒でも白というのが派閥だ」というスローガンを掲げながらの支援が行われました。こうして、中曽根を支持する声が高まりました。

反主流派の動き

鈴木の不出馬に伴い、反主流派も即座に行動を起こしました。彼らは田中角栄の影響力を排除するため、党内で蓄積されていた不満の声を上げ始めました。鈴木、二階堂進幹事長、福田赳夫最高顧問の間で話し合いが行われましたが、まとまることはありませんでした。

この間、鈴木派と田中派は議論を続け、「選挙は避けて話し合いで後継者を決定する」方針が打ち出されました。10月16日、正式な告示前に「選挙活動の禁止」が提案され、選挙後の調整が進むことになりました。

立候補者と選挙戦

10月16日には、中曽根康弘、河本敏夫、安倍晋太郎、中川一郎の4人が立候補を表明しました。中小の派閥が集まる中、党員・党友による予備選が行われることとなりました。各候補は幹事長あてに念書を提出し、選挙活動が開始されます。

予備選では中曽根が最も支持を集め、結果的に彼が当選しますが、河本や安倍は辞退しました。この選挙結果は、田中角栄の強い影響力があったことを示しており、「田中曽根内閣」と揶揄されるなど、不安定な政権発足の前触れでもありました。

結果と影響

最終的に、1982年自由民主党総裁選挙は中曽根康弘の当選により幕を閉じました。この選挙は、党内の派閥闘争や政治的な駆け引きが色濃く反映されたものであり、政治体制におけるパワーバランスを一層複雑化させる結果となりました。今後の日本の政治動向に与える影響は計り知れません。

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