1984年のナショナルリーグチャンピオンシップシリーズ

1984年のメジャーリーグベースボール、ポストシーズンの熱戦は10月2日、ナショナルリーグ優勝決定シリーズの開幕と共に幕を開けました。サンディエゴ・パドレスとシカゴ・カブスの激突は、レギュラーシーズンでの6勝6敗という互角の戦いを経て、ポストシーズンへと突入しました。

シリーズ最初の2試合は、カブスのホーム、歴史深いリグレー・フィールドで開催されました。カブスは、1945年のワールドシリーズ以来実に39年ぶりのポストシーズン本拠地開催試合ということもあり、気合十分。初戦ではリーグ優勝決定シリーズ史上最大となる13点差という圧勝劇でシリーズをスタートさせました。続く第2戦も勝利し、リーグ優勝まであと1勝に迫りました。

しかし、舞台がパドレスの本拠地、ジャック・マーフィー・スタジアムに移ると、状況は一変します。パドレスが圧倒的な強さで3連勝を飾り、シリーズを逆転。球団創設16年目にして念願のリーグ優勝、そしてワールドシリーズ進出を掴み取りました。5試合制のシリーズで、2連敗からの3連勝での逆転優勝は、1982年のアメリカンリーグ以来2年ぶり2球団目の快挙でした。

この劇的な逆転劇の立役者として、シリーズMVPに輝いたのはパドレスのスティーブ・ガービーです。第4戦では、同点適時打、勝ち越し適時打、そしてサヨナラ本塁打と、3本の殊勲打を放つ活躍を見せました。シリーズ全体では、打率.400、1本塁打、7打点、OPS 1.029という驚異的な成績を残し、チームの勝利に大きく貢献しました。

しかし、パドレスの快進撃はワールドシリーズでストップします。アメリカンリーグ王者のデトロイト・タイガースに1勝4敗で敗れ、悲願のワールドシリーズ制覇は叶いませんでした。

今シリーズは、もう一つの大きな出来事がありました。MLB審判員の労働組合がポストシーズン出場給の分配条件変更を求めてストライキを決行したのです。そのため、シリーズの一部試合ではアマチュアの審判員が代わりに試合を行いました。労使交渉はシリーズ最終戦当日に妥結し、最終戦はサンディエゴ在住の正規審判員が緊急招集されて行われました。

1984年のナショナルリーグ優勝決定シリーズは、パドレスの劇的な逆転優勝、ガービーの活躍、そして審判ストライキと、数々のドラマが詰まった忘れられないシリーズとなりました。このシリーズは、パドレスというチームの歴史に、そしてメジャーリーグの歴史に、永遠に刻まれることでしょう。10月2日に始まり、雨天順延をはさみながら6日間かけて行われた5試合は、野球ファンにとって、興奮と感動を与え続けた、まさに記憶に残るシリーズでした。それぞれの試合の詳細については、Baseball-Reference.com、IMDb、そしてYouTubeのMLB公式アカウントで公開されている試合映像を参照ください。

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