1984年の阪急ブレーブス

1984年の阪急ブレーブスのシーズンまとめ

1984年の阪急ブレーブスは、非常に意義深いシーズンを迎えました。この年は、上田利治監督の二期目が四年目に差し掛かり、チームにとって通算9年目のシーズンでもありました。このシーズンの最大の成果は、1978年以来6年間の優勝からのブランクを断ち切り、10度目のリーグ優勝を果たしたことです。

シーズンが始まる前、阪急ブレーブスは気分転換を図るために、ホーム用の「Braves」ロゴの変更や、帽子のマークを阪急の「H」からブレーブスの「B」へと変更しました。新たなイメージを持ってシーズンに臨むも、開幕戦では前年の打点王である水谷実雄が頭部に死球を受けるという不運なアクシデントが発生しました。これにより開幕ダッシュが危ぶまれる事態となりましたが、福原峰夫や小林晋哉などの若手選手が躍進し、4月を近鉄から0.5ゲーム差の2位で締めくくります。

その後、5月には首位を奪取し、近鉄に7ゲーム差をつけ独走状態に入ります。しかし、7月にはチームのエースである山田久志が日本ハム戦での事故により戦線を離脱。これによりチームは一時危機に直面し、「阪急の優勝は無理」との声も上がりました。それでも、今井雄太郎やこの年に先発に復帰した佐藤義則、リリーフに転向した山沖之彦らの活躍により、徐々にチームの流れを取り戻します。また、打撃陣では福本豊が前人未到の1000盗塁を達成し、4番のブーマー・ウェルズが三冠王に輝くなど、選手たちが各々の役割を全うしました。そしてついに、阪急ブレーブスは6年ぶりのリーグ優勝を成し遂げたのです。

その後、阪急は日本シリーズに進出。ここでは9年ぶりに上田監督の古巣である広島と対戦し、シリーズは第7戦までもつれ込みます。しかし、投手起用の失敗やブーマーの打撃不振も影響し、最終的には3勝4敗で敗退してしまいました。

なお、投手陣では今井が21勝を挙げて最多勝を獲得し、2.93の防御率で最優秀防御率を手にしました。さらに、佐藤は136奪三振で最多奪三振、山沖は25セーブで最優秀救援に選ばれるなど、山田以外の投手陣も奮闘を見せました。

このシーズンの特徴的な出来事として、5月9日にはバンプ・ウィルスが上田監督の指示を無視して凡退し、監督が激怒したというハプニングがありました。このことがきっかけで、上田監督は球団側にバンプを二軍落ちさせるよう要求し、さらには「バンプを切るか、私を切るか」と抗議した結果、翌日の試合では監督が指揮権を放棄する事態にまで発展しました。

1984年の阪急ブレーブスは、選手たちの努力とチーム全体の士気によって数々の成功を収めたシーズンであり、ファンにとって印象深い年となりました。優勝の喜びの影には、選手たちの grit と監督の決断があったことは間違いないでしょう。

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