1984年フランスグランプリ

1984年5月20日、フランスのディジョン・プレノワ・サーキットにおいて、F1世界選手権第5戦、1984年フランスグランプリが開催されました。

予選では、パトリック・タンベイがルノーを駆り、ポールポジションを獲得しました。これは、タンベイとルノーチームにとって、このシーズン唯一のポールポジションという快挙でした。一方、アンドレア・デ・チェザリス（リジェ）は予選1回目に9番手のタイムを記録したものの、車両の消火器が空であったことが発覚し、タイムが無効と判定されました。予選2回目は雨に見舞われ、思うようにタイムを縮めることができず、予選落ち寸前の27位に終わりました。しかし、リジェチームは予選後にフランソワ・エスノーのエントリーを取り消すという異例の措置を取り、グリッドを繰り上げることでチェザリスの決勝レースへの出場を叶えました。

決勝レースは、タンベイのリードからスタートしました。スタート直後、タンベイはやや出遅れ、アンジェリス、マンセル、ピケらとの激しい1コーナー争いが展開されました。この争いの中でピケは順位を落とすことになります。

レース序盤は、タンベイが首位を堅実に守り続けました。しかしながら、41周目にブレーキ操作でミスを犯し、スリップ。この隙を突いたニキ・ラウダ（マクラーレン）がタンベイを抜き去り、トップに立ちました。その後、両者はタイヤ交換を行い、タンベイが再びトップに返り咲きます。しかし、62周目、ラウダが再びタンベイを捉え、そのままトップでチェッカーフラッグを受け、優勝を飾りました。

一方、レース序盤はラウダを抑えていたアラン・プロスト（マクラーレン）は、左前輪のトラブルに見舞われ、突然のピットインを余儀なくされます。このトラブルにより順位を大きく落とし、入賞圏外の7位でレースを終えました。

このレースは、タンベイのポールポジション、ラウダの優勝、そしてプロストのトラブルなど、多くのドラマが凝縮された、記憶に残る一戦となりました。チェザリスの予選でのアクシデントとリジェチームの対応も、このレースをさらにドラマチックなものにしたと言えるでしょう。トップ争いの激しさ、そして予期せぬアクシデントがレース結果を大きく左右した、まさにF1らしい展開でした。予選順位、決勝順位ともに、AUTOCOURSE 1984-85および公式サイトの記録に基づいています。

もう一度検索