1985年イギリスグランプリ

1985年イギリスグランプリ：悪天候とドラマが織りなすF1の歴史に残る一戦

1985年7月21日、イギリスのシルバーストン・サーキットで開催された1985年F1世界選手権第8戦、イギリスグランプリ。このレースは、天候に翻弄され、予期せぬ出来事が連続する、F1史上に刻まれる波乱のレースとなりました。

予選：記録的な速さでポールポジションを獲得

予選は天候に振り回される展開となりました。金曜日は天候不良により午前中の走行がキャンセルされ、予定が大幅に変更されました。変更の繰り返しを経て、最終的にドライコンディションの下、予選が行われました。 ニキ・ラウダのチームメイトであるケケ・ロズベルグが、圧倒的な速さでトップタイムを記録。

土曜日の予選も不安定な天候の中行われましたが、ほぼドライコンディションでした。ロズベルグは予選タイヤを装着し、アタックを開始。ウッドコートコーナー付近で軽い雨に見舞われながらも、1分5秒967という驚異的なタイムを記録しました。その後もタイムを更新し、最終的に1分5秒591という記録的なポールポジションタイムを樹立。このタイムは、前回開催の1983年イギリスGPのポールポジションタイムを4秒近くも更新するものであり、平均速度はほぼ時速259キロに達しました。これはF1におけるラップ平均速度の新記録であり、この記録は2002年のイタリアグランプリまで破られることはありませんでした。

決勝：セナとプロストの激闘、そしてチェッカーフラッグの誤表示

決勝レースは、4番グリッドからスタートしたアイルトン・セナが好スタートを切り、1周目終了時にはトップに立ちました。セナとロズベルグが後続を引き離してレースを展開するかに見えたものの、序盤に排気管を損傷し、ターボのブースト圧が低下したロズベルグはリタイアを余儀なくされました。

セナは単独首位を走行していましたが、中盤にはアラン・プロストがセナを上回るペースで周回を重ね、徐々に差を詰めてきました。レース終盤、60周目を前にセナのエンジンに不調が発生し、プロストにトップの座を譲ると、間もなくマシンストップとなりました。

プロストは60周目にトップに立ち、残り6周のレースを展開していました。ところが、プロストが65周目を終えるやいなや、誤ってチェッカーフラッグが振られてしまい、予定より1周早くレースが終了するというハプニングが発生しました。

結果：波乱のレースを制したのはプロスト

チェッカーフラッグの誤表示という異例な状況の中、プロストが優勝を飾りました。セナのエンジントラブル、ロズベルグのリタイア、そしてチェッカーフラッグの誤表示と、数々のドラマが凝縮された1985年イギリスグランプリは、F1ファンにとって忘れられないレースとして記憶されています。このレースは、天候、マシントラブル、そして人間のミスが複雑に絡み合い、結果を左右するF1レースの不確定性を改めて示すものとなりました。 予選と決勝の結果の詳細については、当時の公式記録や専門誌などを参照ください。

もう一度検索