1985年オーストラリアグランプリ

1985年オーストラリアグランプリ：F1南半球進出の幕開け

1985年11月3日、オーストラリアのアデレード市街地コースにおいて、F1世界選手権の最終戦となるオーストラリアグランプリが開催されました。このレースは、オーストラリアにおける初のF1世界選手権レースという歴史的な意義を持っていました。

レースウィークを通してアデレードは素晴らしい天候に恵まれ、ドライバーたちは絶好のコンディションの中で走行に臨みました。しかし、市街地コースということもあり、ドライバーたちは路面のグリップに苦戦を強いられました。初開催ということもあり、木曜日には特別にフリー走行セッションが設けられ、コースへの適応を図りました。

予選では、アイルトン・セナがウィリアムズの2台を寄せ付けず、見事な走りでポールポジションを獲得しました。これはシーズン7度目のポールポジション獲得となりました。2番手にはナイジェル・マンセル、3番手にはケケ・ロズベルグが続きましたが、セナとのタイム差はそれぞれ0.8秒、2秒と、セナの圧倒的な速さが際立ちました。

決勝レースは、スタートからロズベルグがトップに立ち、セナとの激しいデッドヒートが展開されました。両車は何度も抜きつ抜かれつの接戦を繰り広げ、接触寸前の場面もありました。しかし、レース終盤の62周目、セナのマシンにエンジントラブルが発生し、コース脇にマシンを止めることとなりました。これにより、ロズベルグの優勝が確定しました。ロズベルグは最後まで安定した走りを見せ、ウィリアムズチームはシーズン最終3戦をすべて制覇する快挙を成し遂げました。

2位と3位にはリジェチームの2台が入りました。最終ラップでは両車が接触するというアクシデントがありましたが、幸いにも両車ともゴールにたどり着くことができました。特に3位でフィニッシュしたフィリップ・ストレイフにとっては、F1キャリア初となるポイント獲得という、記念すべきレースとなりました。

このオーストラリアグランプリの開催を主催した関係者は、FIAからレースプロモーターズトロフィーという栄誉ある賞を受賞しました。このレースは、オーストラリアにおけるモータースポーツの歴史に新たな1ページを刻むと共に、F1世界選手権に新たな魅力を加えたと言えるでしょう。オーストラリアという南半球の国でのF1開催は、このスポーツのグローバル化を象徴する出来事でもありました。ニキ・ラウダ、アルファロメオ、ルノー、トールマンにとってはこのレースが最後のF1グランプリとなりました。そして、ケケ・ロズベルグがオーストラリアグランプリを制し、その歴史に名を刻んだのです。

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