トールマン

トールマン・モータースポーツの歴史

トールマン・モータースポーツ（Toleman Motorsport）は、かつてフォーミュラ1（F1）に参加していたイギリスのレーシングチームです。このチームは、主に1980年代初頭にかけて活動し、数々の名ドライバーを輩出しました。ここでは、トールマン・モータースポーツの設立からF1撤退までの経緯や成績について詳述します。

起源とフォーミュラ2の活躍

トールマン・モータースポーツは、テッド・トールマンが設立したフォーミュラ・フォード2000チームから始まります。彼の支援のもと、アレックス・ホークリッジがチームマネージャーとして指揮を執りました。その後、チームはフォーミュラ2にステップアップし、1978年にはマーチのシャーシを使用し、1979年にはラルトに切り替えました。

1980年には、ロリー・バーンのデザインによるTG280シャーシで圧倒的な速さを発揮し、F2シリーズでブライアン・ヘントンとデレック・ワーウィックが共にトップをかける活躍を見せました。この年の快進撃を受けて、トールマンは1981年からのF1参戦を正式に発表します。

F1進出と初期の挑戦

1981年、トールマンはサンマリノGPでF1デビューを果たします。当初は、前年のF2で使用したハートエンジンの新しいターボモデルを搭載し、新設計のTG181シャーシで競技しました。しかし、マシンはパフォーマンスが不足し、両ドライバーとも予選通過は一度に留まりました。1982年にはヘントンがチームを去り、テオ・ファビが加入しましたが、戦績は振るわず、厳しいシーズンが続きました。

成長と評価の獲得

1983年には車両レギュレーションが変更され、TG183Bが投入されました。新たにブルーノ・ジャコメリが加わり、ワーウィックとのコンビで数々の好成績を収め、特にオランダGPでは4戦連続入賞を達成しました。この年の活躍が評価されたワーウィックは、移籍市場で注目を浴び、ルノーへ移籍が決定しました。

1984年、アイルトン・セナがトールマンからF1デビューを果たしました。初戦での苦戦を越えて、南アフリカGPでは6位入賞を果たし、期待が高まりました。特にモナコGPでは、プロストに迫る走りを見せて2位表彰台を獲得。また、イギリスGPでも3位入賞を果たし、セナの才能を印象付けました。彼は翌年からロータスチームに契約し新たな道へと進みます。

終焉とベネトンへの買収

1985年、トールマンは新車TG185を発表しますが、ミシュランのF1撤退により困難な状況に直面します。最終的にはベネトンとの契約を結び、彼らのダイナミックな経済的支援のもと、チームはついにF1競技の舞台へ再び戻ります。同シーズン末には、ベネトンがトールマンを買収し、チーム名は「ベネトン・フォーミュラ」に変更されました。これにより、トールマンはその歴史を終えることとなりました。

その後と逝去

トールマンの創設者テッド・トールマンとホークリッジは、買収後はチームを離れましたが、マシンデザイナーのロリー・バーンはベネトンに残り、さらなる成長を遂げました。以降、ベネトンは16年にわたりF1に参加し、その後のルノーやロータスへの変遷を経て、2021年にはアルピーヌ・F1チームとして活動しています。

2024年には、創設者テッド・トールマンが86歳で逝去し、彼の功績はモータースポーツの歴史に深く刻まれています。

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