1985年ヨーロッパグランプリ

1985年ヨーロッパグランプリ：マンセルの初優勝とプロストの戴冠

1985年10月6日、イギリスのブランズハッチサーキットで開催された1985年F1世界選手権第14戦、ヨーロッパグランプリ。このレースは、数々のドラマと意外な結末でF1史に刻まれた一戦となりました。

予選：セナのポールポジションとピケの猛追

前戦ベルギーGPで負傷したニキ・ラウダに代わり、ジョン・ワトソンがマクラーレンのシートに収まりました。ワトソンにとっては1983年以来のF1復帰戦となりました。

2日間にわたる予選では、アイルトン・セナ（ロータス）が両日トップタイムを記録し、ポールポジションを獲得しました。しかし、予選2日目は波乱含みでした。新シャシーを投入したネルソン・ピケ（ブラバム）が、初日セナから1秒以上遅れながらも、2日目にはタイムを大幅に伸ばし、一時トップタイムを記録しました。セナはピケのタイムを確認すると、すぐにタイムアタックを行い、0.3秒差でピケを抑えポールポジションを死守しました。

決勝：マンセルの劇的な初勝利

決勝レースは、ナイジェル・マンセル（ウィリアムズ）が完璧なスタートを切りました。1コーナーでセナと並び、外側から攻め立てました。セナはコースアウトギリギリのラインを取り、マンセルをコース外に押し出す形となりました。この隙をついてケケ・ロズベルグ（ウィリアムズ）とピケが2、3位に浮上し、セナを追撃しました。

7周目、ロズベルグはセナのインを突いてトップを奪おうとしましたが、セナがインを閉めたために両車が接触。ロズベルグはスピンし、後続のピケとも接触、ピケはリタイヤを余儀なくされました。ロズベルグはレース後、セナのドライビングについて「F3ドライバーのような走り方だ」と批判しました。

ピットインしてタイヤ交換を終えたロズベルグは、トップを争うセナとマンセルの間を縫ってコースに復帰しました。しかし、ピットアウト直後はペースが上がらず、ロズベルグを抜き去ろうとしたセナはラインを変え、その隙を突いたマンセルがセナをパスしトップに立ちました。タイヤが温まるとロズベルグはペースを上げ、セナを引き離し、マンセルに迫りました。

上位争いは落ち着きを見せましたが、レース中盤にはマルク・スレール（ブラバム）が順位を上げてきました。ピレリタイヤを履くブラバムは終盤まで2位を走行し、スレールにとってキャリア初の表彰台が期待されましたが、62周目にターボトラブルでリタイヤとなってしまいました。

マンセルはその後も他のドライバーを寄せ付けず、最後までトップを走り続けました。72戦目にして初優勝を飾ったのです。4位でフィニッシュしたアラン・プロストは、この結果、自身初のF1ドライバーズタイトルを獲得しました。

まとめ

1985年ヨーロッパグランプリは、セナとマンセルの激しいバトル、ロズベルグとピケの接触、そしてスレーラの惜敗など、数々のドラマが詰まったレースとなりました。マンセルの初優勝、プロストの初タイトル獲得という結果も、このレースを記憶に残るものにしました。また、このレースは、ドライバーたちの激しい競争と、マシンの信頼性の重要性を改めて示したレースでもありました。

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