1986 FIFAワールドカップ・アジア予選

1986 FIFAワールドカップ・メキシコ大会 アジア予選

1986年にメキシコで開催されたFIFAワールドカップ本大会へ向けた、アジア大陸における出場チーム決定予選は、アジアサッカー連盟（AFC）の主催のもと実施されました。この予選を通じて、アジア地域に割り当てられたわずか2つの本大会出場枠を巡り、激しい戦いが繰り広げられました。

当初、AFCに加盟する多くの国と地域から、合計28チームが予選への参加を予定していました。しかし、一部のチームは参加を見送るか、途中で予選から離脱するという状況が見られました。例えば、チャイニーズタイペイは地理的な理由などからアジア予選ではなくオセアニア予選にエントリーしました。また、オマーンとイランは予選への参加を辞退しました。特にイランについては、国内でのホームゲーム開催が認められなかったことが、辞退の主な理由とされています。さらに、レバノンは予選期間中に大会を棄権しました。イラクについても、当時のイラン・イラク戦争の影響により、自国でホームゲームを開催することが困難となり、第三国での開催を余儀なくされるという特殊な事情がありました。

予選方式は、参加チームを地理的に大きく二つのブロックに分ける形式が採用されました。一つは西地区をカバーするゾーンA（13チーム）、もう一つは東地区をカバーするゾーンB（14チーム）です。それぞれのゾーン内で、段階を経て出場チームが決定されるトーナメントが組まれました。

まず、1次予選では、各ゾーン内の参加チームが3または4チームごとのグループに細分化されました。これらのグループ内では、各チームがホームとアウェーで互いに2度対戦する総当たり戦が行われ、その成績に基づいて順位が決定されました。この1次予選を突破できたのは、各グループで首位に立ったチームのみでした。

1次予選を勝ち抜いた各ゾーンの4チームは、次の段階である2次予選および最終予選に進みました。このラウンドは、ホーム・アンド・アウェー方式によるノックアウトトーナメントとして実施されました。つまり、勝ち残ったチーム同士が、ホームとアウェーで2試合対戦し、その合計スコアで勝敗を決める勝ち抜き戦です。このトーナメントを勝ち進み、各ゾーンで最後に勝ち残った1チームずつ、合計2チームが、栄光の1986 FIFAワールドカップ・メキシコ大会への出場権を獲得しました。

激戦となった各ゾーンの予選を勝ち抜いたのは、ゾーンA（西地区）からはイラク代表でした。彼らは様々な困難を乗り越え、本大会への切符を手にしました。一方、ゾーンB（東地区）からは、韓国代表が予選を勝ち抜き、メキシコ大会出場を決めました。

ゾーンBに参加した日本代表も本大会出場を目指し、予選を戦いました。日本は予選を勝ち進み、最終予選まで駒を進めましたが、惜しくも本大会出場はなりませんでした。特に最終予選の第一戦は、東京の国立競技場で行われ、多くの日本のサッカーファンが見守る中で開催されました。この試合では、日本のミッドフィールダーである木村和司選手が、美しい直接フリーキックを決めるなど、見どころのあるプレイがありました。

この予選の結果、アジア代表として1986年のFIFAワールドカップ本大会に出場したのは、イラクと韓国の2カ国でした。両チームはアジアの代表として世界の強豪チームに挑みました。

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