1986年11月1日国鉄ダイヤ改正

1986年国鉄ダイヤ改正の概要

1986年11月1日、日本国有鉄道（国鉄）のダイヤ改正が実施されました。この改正は、翌年4月1日の国鉄分割民営化を目前に控えた重要なものであり、多くの改革が行われました。キャッチフレーズは「明日へ、便利レール、新ダイヤ」で、CMキャラクターには西村知美が起用されました。

ダイヤ改正の背景

この時期、国鉄は分割民営化に関する法整備が進められていました。動力車労働組合などの労働組合が分割民営化に賛成する一方で、国鉄労働組合は内部分裂が起こる事態にあり、国鉄の労働組合全体が揺れ動いていました。

1985年には、分割民営化に反対する動労千葉が全国規模でストライキを決行し、国鉄全体に影響を及ぼしました。これにより国鉄の運行に対する信頼が揺らぎ、改革が急務となっていました。

1986年の春、国鉄改革関連法案が提出され、議会での審議を経て、最終的に秋に可決されることになりました。その結果、国鉄は1987年4月1日に、東日本旅客鉄道や西日本旅客鉄道など、合計9つの新会社に分かれることが決定しました。

改正の内容と特徴

1986年のダイヤ改正では、以下の3つの分野が特に強化されました。

1. 中距離都市間輸送の強化:
新幹線や特急の本数を増やし、速達化を図りました。これにより、東京から新大阪間の所要時間が12分短縮され、さらに博多間では29分短縮されました。
2. 近郊輸送の改善:
近郊普通列車のダイヤをパターンダイヤ化し、通勤客にとって使いやすいものに変革しました。
3. 貨物輸送の効率化:
貨物列車の運行を合理化し、効率的に大量輸送が行えるように工夫しました。

新幹線の速度向上

東海道・山陽新幹線は、最高速度が210km/hから220km/hに引き上げられました。この速度向上により、東京駅から新大阪駅までの所要時間が大幅に短縮され、従来の余裕のあるダイヤから、より効率的な運用への転換が図られました。この改正をきっかけに、新型車両100系も増発され、高速運転が実現しました。

特急列車の改革

全国の特急列車においても所要時間が短縮され、新しい列車が利用者のニーズに応える形で設定されました。特に新大阪駅と城崎駅間の特急「北近畿」が新設され、急行列車の削減と格上げが同時に進められました。北海道や四国地域では振興のため新車両の投入が行われ、輸送サービスの充実が図られました。

普通列車の増発

一般の普通列車の増発も見逃せません。この時期の増発は戦後最大規模で、2,000本以上、67,000kmもの走行距離が増加しました。結果として全国の主要都市周辺で「待たずに乗れる」新しいダイヤが実現され、他の交通機関と競合する形で鉄道利用が促進されました。

貨物輸送の変化

貨物輸送でも大きな変革があり、ワンマン運転が基本となり、原則として車掌の乗務が廃止されました。また、全国で輸送効率を高めるための改正が進められ、コンテナ化が急速に進展しました。この結果、東京と大阪の間の貨物輸送もスピードアップし、業務の効率化が図られました。

郵便・荷物輸送からの撤退

しかし、この時期に国鉄は不採算部門である郵便輸送や小荷物輸送からの撤退を決定しました。そのため、小荷物や郵便輸送に使用されていた車両の多くが余剰となり、結果的に多くの車両が廃車されることになりました。

結論

1986年のダイヤ改正は、国鉄分割民営化に向けての重要な一歩を示すものでした。これにより、鉄道の運営体制が一新され、利用者にとって利便性が大きく向上しました。新しいダイヤは、今後の鉄道運営においても重要な基盤となっていくことが期待されています。

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