1987年のロードレース世界選手権

1987年FIMロードレース世界選手権：世界規模の戦いと新たな時代へ

1987年のFIMロードレース世界選手権は、第39回大会として開催されました。このシーズンは、ヨーロッパ中心だった開催地を大きく変え、日本、ブラジル、アルゼンチンなど世界各国に舞台を広げ、名実ともに世界選手権としての地位を確固たるものにした重要な年となりました。

世界に広がる舞台、そして進化するレース

長きに渡りヨーロッパでのみ開催されていたWGPでしたが、1987年は20年ぶりに鈴鹿サーキットでの日本GP開催が実現。さらにブラジルとアルゼンチンでもGPが開催されるなど、地理的な広がりを見せました。また、ポルトガルGPは、ハラマ・サーキット（スペイン）で開催されました。安全性を重視したレギュレーション変更も行われ、それまで一般的だった押しがけスタートからクラッチスタートへの移行が行われました。さらに、将来を見据えた変更として、80ccクラスは1989年シーズン以降廃止され、125ccクラスは単気筒エンジン搭載マシンに制限されることが発表されました。これらの変化は、世界選手権の更なる発展を象徴する出来事だったと言えるでしょう。

最高峰500ccクラス：オーストラリア人の初戴冠と激闘

500ccクラスでは、前年ランキング2位のワイン・ガードナーが、アグレッシブな走りだけでなく、安定したポイント獲得を武器にシーズンを通してトップを走り続けました。全戦でポイントを獲得するという堅実さも持ち合わせた彼の活躍は、オーストラリア人ライダーとして初の500ccワールドチャンピオン獲得という歴史的快挙に繋がりました。一方、前年度チャンピオンのエディー・ローソンは5勝を挙げたものの、中盤での取りこぼしが響き、ランキング3位に終わりました。また、開幕戦を制したランディ・マモラもタイトル争いに加わり、3勝を挙げてランキング2位という好成績を収めています。日本人ライダーでは、平忠彦選手が6位、八代俊二選手が9位と、両選手ともトップ10入りを果たす活躍を見せました。

250ccクラス：ホンダ勢の躍進と新勢力の台頭

250ccクラスでは、前年王者カルロス・ラバードがシーズン前の怪我の影響で苦戦を強いられ、ヤマハ勢全体が低迷する中、ホンダワークス勢が台頭しました。その中で、ベテランライダーのアントン・マンクが5度目のチャンピオンを獲得しました。さらに、アプリリアのマシンを駆るロリス・レジアーニがサンマリノGPで優勝。アプリリアは、新たな有力メーカーとして存在感を示しました。

125ccと80ccクラス：圧倒的な強さと惜敗

125ccクラスは全11戦で争われ、ガレリのファウスト・グレシーニ選手が開幕から10連勝と圧倒的な強さを見せつけ、2度目のタイトルを獲得しました。惜しくも最終戦ハラマでクラッシュしたためシーズン全勝は逃しましたが、その強さは記憶に残るものとなりました。80ccクラスでは、スペインのホルヘ・マルチネス選手が2年連続のタイトルを獲得しました。

まとめ：変化と進化のシーズン

1987年シーズンは、開催地のグローバル化、レギュレーションの変更、そして新たなチャンピオンの誕生など、様々な要素が絡み合い、非常に変化に富んだ年となりました。各クラスで繰り広げられた激しい戦いは、モータースポーツ史に新たな1ページを刻みました。そして、このシーズンは、今後のロードレース世界選手権の発展における重要な転換期となったと言えるでしょう。

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