1988年アメリカ合衆国大統領選挙

1988年アメリカ合衆国大統領選挙

1988年11月8日に実施されたアメリカ合衆国の大統領選挙は、第51回目の選挙にあたり、現職副大統領である共和党のジョージ・H・W・ブッシュが勝利を収めました。この選挙は、アメリカ政治における重要な転機となりました。

予備選の展開

民主党は1984年の選挙でウォルター・モンデールを候補に選びながらも大敗を喫し、党指導部は新しい戦略を模索していました。1986年の中間選挙では、イラン・コントラ疑惑によるレーガン政権への反発もあり、党は持ち直しを図れば、次の大統領選に向けて少し楽観的な情勢となりました。民主党には、以下の主要候補者が名乗りを上げました。

• - ブルース・バビット（前アリゾナ州知事）
• - ジョー・バイデン（デラウェア州選出上院議員、後の第46代大統領）
• - マイケル・デュカキス（マサチューセッツ州知事）
• - リチャード・ゲッパート（ミズーリ州選出下院議員）
• - アル・ゴア（テネシー州選出上院議員、後の副大統領）
• - ゲイリー・ハート（コロラド州選出前上院議員）
• - ジェシー・ジャクソン（市民権活動家）
• - パトリシア・シュレーダー（コロラド州選出下院議員）
• - ポール・サイモン（イリノイ州選出上院議員）

1987年初頭には、ゲイリー・ハートが有力候補とされていましたが、彼の女性スキャンダルが報じられ、支持率が急落。その後、予備選に復帰しましたが、再度撤退を余儀なくされる結果となりました。

マイケル・デュカキスは最終的に民主党全国大会で大統領候補に選出され、彼の副大統領候補にはロイド・ベンツェンが選ばれました。デュカキスは接戦の末に指名を受けるものの、党内の対立やスキャンダルに直面していました。

共和党予備選の状況

一方、共和党は現副大統領のジョージ・H・W・ブッシュが主導権を握っていました。彼はレーガン大統領の支持を受けつつ、彼の政策を継承しつつも、新たに「優しいアメリカ」のビジョンを掲げました。しかし、初戦のアイオワ州では意外にも3位に終わってしまいます。対照的に勝利を収めたボブ・ドールは、ニューハンプシャー州でも優勢とされましたが、ブッシュは巧妙なキャンペーンで逆転を果たします。

やがてスーパー・チューズデーとなり、ブッシュはその組織力と資金力を駆使して大きな支持を獲得。結局、彼は全会一致で大統領候補に指名され、ダン・クエールが副大統領候補に選ばれました。ブッシュが行った選挙演説で、「増税はなし」との明言が注目を集めましたが、この公約は後に彼にとって不利な要因となりました。

本選の結果と影響

本選は非常に接戦となり、多くの州で僅差の勝負が繰り広げられました。特に、ワシントン州、イリノイ州、カリフォルニア州などでは、得票率の差が非常に小さく、選挙結果が混沌としていました。最終的に、ブッシュはデュカキスを破り、1992年の大統領選に向けた足掛かりを築く結果となりました。

この選挙は単なる政治的勝利にとどまらず、アメリカ合衆国における保守的な政策の流れを強化し、次の世代への影響を及ぼすことになりました。しっかりとした基盤を構築したブッシュ政権は外交、経済政策においても新たな道筋を示したのです。

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