1989年の近鉄バファローズ

1989年の近鉄バファローズのシーズン振り返り

1989年の近鉄バファローズは、仰木彬監督にとって2年目のシーズンであり、多くのドラマに満ちた年でした。前年のロッテとの引き分けが影響し、優勝の夢が叶わなかった近鉄は、再びその栄冠を目指します。始めに仰木監督が「今年こそ優勝する」と言明したその意気込みは、選手たちにも共有され、シーズン開始からまずまずのスタートを切りました。

しかし、オリックスが打線での圧倒的な戦力を武器にリードを保ち続け、チームは追いつくのに苦労します。6月の時点でオリックスとのゲーム差は最大で8ゲームにも到達しましたが、その後、阿波野秀幸とラルフ・ブライアントといった若手選手たちの奮闘によって、7月からは徐々にこの差を縮めていきます。8月に入ると、首位を奪取することに成功し、シーズンの後半戦に向けて優勝への期待が高まりました。

9月に入り、西武も優勝争いに絡んできて、3チームによる結果が目まぐるしく変わる展開に。10月に入って、佐伯勇オーナーが残念ながら死去し、この出来事がチームに及ぼす影響が懸念されました。10月12日のダブルヘッダーで西武との対決が予定されており、ここではブライアントが決勝本塁打を放ち、近鉄は第2試合でも活躍を見せて大勝。これにより優勝マジックが灯り、10月14日にはダイエー戦での勝利によって、9年ぶりにリーグ優勝を達成しました。

近鉄の打達成は157本でリーグ3位でありましたが、2位となったのは投手陣の健闘によるものが大きいです。特に、阿波野投手は防御率2.71でリーグで高い評価を得る活躍を見せて最多勝を記録し、投手力での勝利が印象的だった。また、完投数は28でリーグ3位と、投手陣の強さが醸し出していたことには違いありません。

日本シリーズでは巨人との対戦となり、近鉄は第1戦から第3戦まで連勝し、一時は日本一まで王手をかけます。しかし、加藤哲郎投手が「巨人はロッテより弱かった」との発言を残し、これが周囲の逆風となり、続く試合を落とす結果を招いてしまいます。さらに、最終戦で加藤がKOされると、試合は巨人側に流れ、結局は3連勝から4連敗を喫し、日本一を逃すことに。この年の近鉄バファローズのシーズンは、栄光と苦渋が交錯した瞬間に満ちていました。選手たちの活躍や試合の結果は多くのファンにとって記憶に残るものといえるでしょう。

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