1989年ソ連国勢調査

1989年ソ連国勢調査：崩壊間近の超大国の社会構造を探る

1989年1月12日から19日にかけて実施されたソ連国勢調査は、ソビエト社会主義共和国連邦の最後の国勢調査として歴史に刻まれています。この調査は、ソ連という巨大国家の人口動態、社会構造、民族構成などを解明する上で貴重なデータを提供しました。

調査の実施と結果発表

調査は、特別に訓練された調査員が国民一人ひとりに直接聞き取りを行うという、大規模なものでした。調査票を用いた方法に加え、口頭での聞き取りも行われ、厳格な確認作業を経て正確性が確保されました。

調査結果の発表は段階的に行われました。まず1989年4月には、主要地域の人口と順位に関する速報値が公開されました。その後、1990年から1991年にかけて、コンピュータによる集計に基づいた詳細な最終結果が発表され、人口、年齢構成、婚姻状況、世帯規模、教育レベル、民族・言語、そして収入源に関する多様なデータが明らかになりました。

ソ連の人口：世界第3位、都市化の進展

調査によると、ソ連の人口は1989年1月12日時点で2億8670万人と、10年前の調査と比較して2430万人（9%）増加していました。これは当時世界第3位の人口規模です。人口の51%がロシア連邦に集中しており、ウクライナを除く他の共和国の人口は10%未満でした。注目すべきは、都市人口の著しい増加で、全人口の66%を占めていました。この結果は、ソ連における都市化の進展を如実に示しています。

家族と世帯：多様な構成と地域差

家族数は7310万世帯で、10年前と比較して680万世帯（10%）増加していました。増加率が特に高かったのはアゼルバイジャン（22～29%）、カザフスタン（16%）、モルドバなどです。全国平均の世帯人員は3.5人でしたが、都市部では3.3人、農村部では3.8人と地域差がありました。共和国間でも差があり、タジキスタンが最も多く、ラトビアとエストニアが最も少ない3.1人でした。この差は、主に家族内の子供の数によるものです。

世帯構成員は2億5580万人（人口の89%）で、家族と離れて暮らす構成員は1300万人（5%）いました。さらに、独立した家計で家族と離れて暮らす非世帯構成員は1640万人（6%）いました。この非世帯構成員は片親世帯が多く、中央アジア諸国では少なく、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、バルト三国では割合が高くなっていました。

民族構成と共和国別人口

国勢調査は、ソ連を構成する多様な民族の分布についても貴重なデータを示しました。（具体的な数値データは省略）様々な民族が共存するソ連社会の実態が、この調査結果から読み取れます。各共和国の詳細な人口データも調査によって明らかになりました。（具体的な数値データは省略）これらのデータは、ソ連という多民族国家の複雑な社会構造を理解する上で不可欠です。

結論

1989年ソ連国勢調査は、崩壊の兆しが見え始めていたソ連の社会構造を詳細に記録した貴重な資料です。この調査から得られた情報は、ソ連の歴史、社会、政治を研究する上で重要な基盤となっています。調査データは、人口動態、家族構成、民族構成、都市化といった様々な側面から、ソ連社会の実像を浮き彫りにし、後の歴史研究に大きく貢献しています。今後、この調査結果を基にした様々な分析が続けられるでしょう。

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