1990年イタリアグランプリ

1990年イタリアグランプリの振り返り

1990年9月9日に行われたイタリアグランプリは、F1世界選手権の第12戦としてモンツァ・サーキットで開催された。この大会では、アイルトン・セナがポールポジションからスタートし、見事なレース展開で初めてのイタリアGP勝利を収めた。

予選の激闘

予選に入ると、セナはその実力を遺憾なく発揮し、金曜日の初回予選では唯一の1分22秒台をマークすることに成功した。しかし、土曜日のフリー走行中にホンダエンジンにトラブルが発生し、エンジン交換を余儀なくされる。その影響で予選2回目の開始直前まで作業が進まない中、セナは緊張感を持って出番を待っていた。

一方、同じくフロントロースタートを目指すアラン・プロストは、地元イタリアのファンからの強い応援を受け、セナのタイムをわずか0.04秒更新し、暫定トップに立つ。残り2分でコースへ出たセナは、見事なスーパーラップを記録し、プロストを0.4秒上回って再びポールポジションを獲得した。「パワーサーキット」であるモンツァでは、エンジン性能が重要となる中で、セナとプロストが圧倒的なスピードを誇る。しかし、カスタマーエンジンを搭載したティレルのジャン・アレジも5番グリッドを獲得し、その来季の去就が注目されていた。

決勝レースの展開

決勝レースが始まると、ポールシートのセナと3番グリッドからスタートしたベルガーが素早い加速を見せ、第一シケインでマクラーレンが1位、2位を占める展開となる。その後、アレジがプロストのインを刺し、3位に浮上するが、アクシデントが発生。1周目の最終コーナーで、ワーウィックがバリアに衝突し、赤旗が出されることに。この事故の中で、ワーウィックは自力で脱出し、無事を確認した後、スペアカーに乗り換える。

レースは再スタートとなり、セナとベルガーが先行。アレジは3周目の第1シケインでスピンを喫しリタイア。レースはセナとプロストによる一騎打ちの様相を呈していく。21周目にはベルガーがブレーキの問題でペースが鈍り、プロストに抜かれ、これによりトップ2選手の差が広がる。最終的にセナは全周回を1位で走り抜け、ポールポジション・ファステストラップ・優勝の全てを達成するグランドスラムの快挙を成し遂げた。

結果とその後の影響

このレースで中嶋は6位入賞を果たし、彼にとっては開幕戦以来のポイント獲得となった。表彰式後には、セナとプロストが記者の質問に応じて握手を交わし、前年のサンマリノGP以来の冷戦状態の終息が期待された。しかし、1カ月半後の日本GPにおいて、この関係は再び険悪なものへと戻ってしまうのである。

この1990年イタリアグランプリは、F1の歴史においても重要なレースの一つであり、セナの才能が光る瞬間を象徴する出来事が詰まっていた。

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