1992年の読売ジャイアンツ

1992年の読売ジャイアンツのシーズン概要

1992年は読売ジャイアンツにとって特別な年であり、このシーズンは藤田元司監督のもとで過去7年間の集大成が試される期間となりました。前年には12年ぶりにBクラスに転落したことから、チームは必勝を期して新たなシーズンをスタートさせました。しかし、思惑とは裏腹に開幕当初から困難な展開が続きました。

最初のうちは特に厳しく、4月中旬には8連敗を喫するなど、開幕ダッシュに失敗します。5月上旬にも2回連続の4連敗を記録し、5月9日には大洋に大敗し、ついには最下位に転落するという苦境に陥りました。4番の原辰徳選手は打率がわずか1割台と奮わず、さらにエースとして期待された桑田真澄選手も5月末までにわずか2勝、防御率も4点台と期待外れの成績でした。また、リリーフ陣の要である水野雄仁選手が肘の故障でシーズンを棒に振るなど、主力選手らの悪化はチームのパフォーマンスに大きく影響しました。

困難な状況を打破すべく、チームはシーズン中にロイド・モスビーを加え、さらに5月8日には中尾孝義とのトレードで西武から大久保博元選手を獲得します。大久保選手が正捕手に定着すると、チームは徐々に反撃を開始しました。大久保選手が本塁打を放つとチームが勝つという「大久保効果」という成功ストーリーも生まれ、原選手も5月までの姿とは打って変わって勝負強さを発揮します。これによって、チームは6月7日からの10連勝を達成し、一気にAクラスに上昇しました。

連勝が止まった後もチームは4連勝を挙げ、その後再び7連勝を記録します。その結果、7月8日にはついに首位に立ち、久しぶりの優勝の期待が高まります。ところが、後半戦の初戦でヤクルトとの対戦では桑田選手が5回で6失点と打たれ、続く2試合も連敗を喫し、大久保選手の不敗神話も崩れてしまいます。これによってチームは4位に転落するという苦しい状況に戻ります。しかしながら、大黒柱である斎藤雅樹選手や新守護神の石毛博史選手の活躍もあり、優勝争いには残っていました。

9月5日にはリーグの60勝に一番乗りを果たしますが、その直後に斎藤選手が打球に直撃を受けて降板し、そこから連敗が続いてしまいます。桑田選手はシーズンを通じて14敗を喫し、期待には応えられませんでした。結局、9月以降は10勝13敗の悪化を見せ、10月4日に優勝の可能性が消滅。最終的には前年の最下位から大躍進を遂げた阪神と同率の2位でシーズンを終えました。

シーズンオフには藤田監督が勇退し、新たに長嶋茂雄氏が13年ぶりに監督に復帰することが発表されました。1992年の読売ジャイアンツは、初めこそ苦戦しましたが、途中からのチームの立て直しはファンにとって印象的なものとなり、来季への期待を抱かせる結果となりました。

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