1992年ハンガリーグランプリ

1992年ハンガリーグランプリ詳報：マンセルの戴冠

1992年8月16日、ハンガロリンク。F1世界選手権第11戦、ハンガリーグランプリが開催されました。このレースは、ドライバーズチャンピオンシップの行方を決定づける、重要な一戦となりました。

予選

ブラバムは1台のみのエントリーだったため、ガショーは予備予選を免除されました。予選ではパトレーゼが圧倒的な速さを見せつけ、金曜、土曜日の全セッションでトップタイムを記録。見事、今季初ポールポジションを獲得しました。一方、タイトル獲得に王手をかけていたマンセルは、電気系統のトラブルによる発火というアクシデントに見舞われ、2番手スタートとなりました。なお、ウィリアムズは、このレースから全てのマシンに最新型のルノーRS4エンジンを搭載しました。マクラーレンは新型トラクションコントロールシステムを投入しましたが、ベルガーはシステムに馴染めず、予選ではシステムオフで走行しました。

決勝

スタートでは、パトレーゼが首位を快走。しかし、マンセルはスタート直後、コースの汚れた側に位置していたため加速が鈍り、マクラーレン勢に抜かれ4位に後退。その後、8周目にベルガーを追い抜いて2位セナに肉薄しますが、コースの特性とセナの巧みなディフェンスにより、なかなか前には出れませんでした。

一方、パトレーゼは独走状態を続け、セナに30秒以上の差をつけていました。しかし、39周目、2コーナーでコース上に撒かれていた砂に乗り、単独スピン。コース復帰に手間取り、7位まで順位を落としました。このアクシデントにより、セナがトップに躍り出ます。

56周目には、パトレーゼのマシンから白煙が上がり、エンジンブローによりリタイア。この時点で、マンセルが3位に入賞すればチャンピオンが決定するという状況となりました。しかし、マンセルはタイヤのトラブルにより62周目にピットイン。6位まで順位を落としました。残り15周で5位との差は13秒ありましたが、新品タイヤを装着したマンセルは猛追を開始します。

2位争いは、ベルガー、シューマッハ、ブランドル、ハッキネンが僅差で争う展開となりました。しかし、64周目、ブランドルがシューマッハに追突。この接触によりシューマッハのマシンはリアウィングが破損し、スピンしてリタイアとなりました。

マンセルは、66周目にハッキネン、67周目にブランドルをオーバーテイク。そして69周目には1コーナーでベルガーをもパスし、2位に浮上。タイトル獲得条件である3位以上を達成しました。ハッキネンはギアボックスにトラブルを抱えたブランドルをかわし、4位でフィニッシュしました。

4度目の挑戦で念願のワールドチャンピオンに輝いたマンセルは、表彰台で喜びを爆発させました。16戦制が定着して以降、最短となる11戦目でのタイトル決定となりました。優勝したセナも、ライバルのマンセルの成功を祝福しました。

資金難に苦しんでいたブラバムは、このレースを最後にチームを解散。ヒルは11位で完走しましたが、これがチームにとって最後のレースとなりました。

結果

ラップリーダー: パトレーゼ (LAP1-38)、セナ (LAP39-77)

このレースは、パトレーゼの独走かと思われた展開から、終盤のドラマチックな展開へと変わり、マンセルの執念の走り、そしてブラバムチームの終焉と、多くのドラマが凝縮された、記憶に残る一戦となりました。

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