1994年の関税及び貿易に関する一般協定第7条の実施に関する協定

関税評価協定について

関税評価協定は、1994年に合意された国際的な条約であり、関税及び貿易に関する一般協定第7条の実施を目的としています。この協定は、輸入価格に基づく従価税の課税体系を公平に保つための規則を明確にしたものです。日本においては、国会の承認を経た条約として、WTO設立協定の一部として位置付けられています。

1. 協定の概要

この協定は、WTO協定の附属書1Aに含まれる一括受託協定として、関税評価に関する国際的な一貫性を提供することを目指しています。貿易において、関税を正確に適用するためには、実際の輸入価格が明確でなければなりません。従って、課税の基礎となる輸入価格が恣意的に決定されることがないよう、特定のルールと基準を設けています。

2. ガット第7条の規定

ガット第7条では、関税評価は「実際の価額」に基づくべきと定義され、その具体的内容についても触れています。つまり、輸入国において法的に規定された時や場所において、適正な競争条件の下で価格が決定されるべきとしています。しかしながら、この条文では具体例が示されていないため、各国における適用の仕方にはばらつきが見られました。また、過去には米国やカナダの制度がこの条文に抵触しているにもかかわらず、特例として認められてきた問題もあります。

3. 評価基準の統一

関税評価の標準化を目指す初めの一歩として、1950年に「ブラッセル評価条約」が制定されました。この条約は、物品の評価基準を「正常価格」と定め、競争の上での価格を基準としました。しかし、この基準が実際にどのように算出されるかに関する具体的な規定が不足しており、これも国ごとの異なる処理を生んでいました。さらに、運賃や保険料を扱う際の価格計算の違いが、各国間の取引評価に影響を与える要因となっていました。

4. ケネディラウンドと東京ラウンドでの交渉

ケネディラウンドでは、米国におけるASP評価の廃止に関する交渉が行われました。結果として米国は評価方法の廃止について合意しましたが、国内の法制度の都合により最終的には合意が成立しませんでした。続く東京ラウンドでは、関税評価が交渉の主要な対象となり、国際的なルールの核となる新しい協定が作成されました。これにより、課税価格の明確な定義とともに、評価方法も具体的に示されました。

5. ウルグアイラウンドにおける評価協定の改正

ウルグアイラウンドでは、先進国が評価協定の改正に消極的であった一方で、開発途上国からの提案に対しても従来の基準を適用し続ける必要性が示されました。税関が輸入申告価格の正確性に疑義を持った場合についてや、最低課税価格を設定することに関する議論が続きました。最終的には、評価協定の適用について調整が行われ、新たに評価議定書が合意されました。

このように、関税評価協定は国際貿易における重要な枠組みとして、各国が共通のルールのもとで競争できる環境を整えています。

もう一度検索