1994年アジア競技大会

1994年アジア競技大会概要

1994年のアジア競技大会（通称:広島アジア大会）は、10月2日から16日までの期間に広島市で開催されました。本大会は、アジア諸国の平和と調和を促進する目的で企画され、特異な歴史を有する広島で行われたことに意義があります。この大会は、首都以外で初めて開催されるものとなりました。

招致活動の経緯

広島市がアジア競技大会の招致を目指したのは、1978年のことでした。当時の広島市長、荒木武が市議会で国際的なスポーツイベントを誘致する方針を示し、市民からもその支持を受けるようになります。1980年には広島県知事の宮澤弘が招致に関する協議を進め、1984年には日本政府が広島での開催を閣議決定しました。最初は1990年の大会を希望していたものの競合が発生したため、1994年の開催が決まりました。

参加国と地域の特徴

この大会には、旧ソ連から独立した中央アジア諸国や、復興途上にあるカンボジアが初めて参加しました。一方で、北朝鮮の不参加や、イラクの招待取り消しなどの問題も浮上しました。

競技内容

大会では、空手道や近代五種競技、さらには前回大会でデモンストレーションに過ぎなかった野球とソフトテニスが正式競技として登場しました。

聖火とマスコット

聖火は、前回大会の北京で採火された「アジアの火」と、広島平和記念公園の「平和の灯」を組み合わせて使用されました。大会には、平和の象徴とされるハトを擬人化したマスコット「ポッポ」と「クック」が公式シンボルとして活躍しました。このマスコットはアジア大会史上初めての男女ペアで、デザイナーは松下進です。

記念の発行物

アジア大会の開催記念に、1994年9月30日に郵政省が50円および80円の切手を発行し、また造幣局は記念硬貨を製造しました。

大会の注目点と環境整備

大会を契機に広島市では都市インフラの整備が行われ、広島広域公園陸上競技場や選手村が新たに建設されました。これにより、競技関連施設の投資が進み、広島の施設整備は1兆3,000億円に達しました。

広島空港も新たに開港し、アクセス向上が図られました。大会に向けて、多くの競技会場が整備され、特にメイン会場の広島広域公園陸上競技場は多くの注目を集めました。

大会後の影響

アジア競技大会後、広島市はバブル崩壊の影響を受け、施設維持が難しくなりました。2002 FIFAワールドカップへの立候補は改修費用の問題から断念され、2010年には五輪構想も提案されましたが、やがて断念されました。これにより、大会開催時の施設が「宝の持ち腐れ」と言われるようになりました。2026年のアジア競技大会は愛知県と名古屋市が共催することが決定しています。

脚注

広島アジア競技大会の成功は、平和の象徴的な意味を持っており、今後の国際的なスポーツイベントにおいても忘れられないものとなっています。

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