1995年カナダグランプリ

1995年カナダグランプリ：アレジが悲願の初優勝

1995年6月11日、ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで開催されたF1世界選手権第6戦カナダグランプリ。このレースは、予選の好天とは一転、決勝で天候が大きく変わり、数々のドラマを生み出すこととなりました。

予選：シューマッハのポールポジション

シムテックの欠場により24台での争いとなった予選。初日、ミハエル・シューマッハ（ベネトン）が1分27秒台の好タイムで暫定トップに立ちます。2日目は気温上昇によりタイム更新は難しい状況でしたが、シューマッハはポールポジションを獲得。ルノーエンジンにとって通算100回目のポールポジションとなりました。一方、ウィリアムズ勢はセッティングに苦しみ、2、3番手と低迷します。トップ10にはフェラーリ、マクラーレン、ジョーダンなどが名を連ねました。

決勝：雨とアクシデントの連続

予選とは打って変わって、決勝当日は朝から雨模様。ウォームアップ走行では、雨に強いジャン・アレジとルーベンス・バリチェロが好タイムを記録します。しかし、ウィリアムズ勢はトラブルに見舞われ、精彩を欠いたまま決勝に臨むことになります。

決勝スタート時、雨は上がっており路面はセミウェット。全車がスリックタイヤを装着してスタートします。序盤はグリッド通りの展開となりますが、オープニングラップのヘアピンでハッキネンとハーバートが接触し、両者リタイアというアクシデントが発生します。2周目にはクルサードが単独スピン。アレジは間一髪で接触を回避しました。

シューマッハは2位のヒルをリードして独走態勢に入ります。その後、フェラーリの2台がヒルをかわし、2位と3位に浮上します。レース中盤、路面は完全にドライコンディションになります。

レースでは各車が1回のピットストップを予定していました。33周目にアレジがピットインしますが、ベルガーはガス欠により順位を大きく落とします。首位のシューマッハもピットインし、レースに復帰します。

3位を走っていたヒルは51周目に油圧トラブルでマシンストップ。これにより、ジョーダンのバリチェロとアーバインが3位と4位に浮上します。

終盤、首位を走っていたシューマッハは電気系のトラブルによりスローダウン。ピットでステアリングを交換するなどしてレースに復帰しますが、順位を大きく下げます。

このアクシデントにより、アレジがトップに躍り出ます。69周目にチェッカーを受け、F1デビューから7年、91戦目にして悲願の初優勝を飾ります。31歳の誕生日での優勝は、カナダの英雄ジル・ヴィルヌーヴゆかりの「カーナンバー27」をつけた彼にとって、特別な意味を持つものでした。

2位にはバリチェロ、3位にはアーバインと、ジョーダンはチーム初となるダブル表彰台を獲得。アーバインは初表彰台となりました。終盤、ブランドルとベルガーが接触しリタイアするなど、最後まで波乱の展開が続きました。

シューマッハはマシンを復調させ、ファステストラップを連発し5位でフィニッシュ。アレジの優勝でフェラーリはコンストラクターズランキング首位に立ち、通算優勝回数でもマクラーレンを抜いて単独首位となりました。

チェッカー後、観客がコースに侵入したため、最終順位は68周終了時点での順位となりました。アレジはウイニングラン中に燃料切れでマシンがストップするハプニングに見舞われますが、シューマッハの助けでピットへ戻りました。

アレジの初優勝は、彼自身、そしてフェラーリチームにとって、大きな喜びと感動をもたらすものとなりました。そして、この勝利は、彼にとって唯一のF1での優勝となりました。

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