1996年のテレビ (日本)

1996年（平成8年）のテレビ業界概観

1996年は、日本のテレビジョン放送において、多くの番組が改編され、新たな人気番組が誕生する一方で、長年親しまれた番組が終了するなど、大きな節目となった年でした。また、社会的に注目された事件や出来事がテレビ報道にも影響を与え、局の体制にも変化が見られました。CSデジタル衛星放送「パーフェクTV!」（現在のスカパー!）が放送を開始し、多チャンネル時代の幕開けを予感させる動きもありました。日本テレビが年間視聴率三冠王を3年連続で達成したことも特筆されます。

番組の新旧交代と大規模改編

この年は、特に春と秋に大規模な番組改編が行われました。多くの帯番組で司会者やキャスターの交代が相次ぎ、各局の「顔」が変化しました。

アニメ分野では、鳥山明原作の人気シリーズ『ドラゴンボールZ』が約7年の歴史に幕を下ろし、後継番組として『ドラゴンボールGT』がスタートしました。また、フジテレビ系で8年以上続いた『キテレツ大百科』が終了し、新たに『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のアニメ版が放送を開始。テレビ東京系列では、ミニ四駆ブームの火付け役となる『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』が放送開始となり、子供たちの間で人気を博しました。NHK教育テレビでは、幼児向け長寿番組となる『いないいないばあっ!』が衛星放送で始まり、後に地上波に移行しました。

バラエティ番組では、日本テレビで所ジョージ司会の『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』や『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』がスタートし、人気を集めました。TBS系では、明石家さんま司会の『さんまのからくりTV』が枠を拡大し『さんまのSUPERからくりTV』としてリニューアル。また、週末の大型情報番組として『王様のブランチ』が始まりました。フジテレビ系では、ナインティナインを筆頭とする若手芸人が中心となる『めちゃ×2イケてるッ!』や、吉田拓郎とKinKi Kids司会の音楽バラエティ『LOVE LOVEあいしてる』が開始し、後の看板番組へと成長しました。

報道・情報番組では、TBSがビデオ問題の影響を受け、朝の『モーニングEye』や昼の『スーパーワイド』といったワイドショーを終了させ、生活情報番組『はなまるマーケット』や『素敵なあなた』を開始。日本テレビも『NNNニュースダッシュ』など新たなニュース・情報番組を立ち上げました。テレビ朝日系では、ワイドショー『ワイド!スクランブル』が放送を開始し、長寿番組となりました。

社会的な出来事とテレビ

1月には、阪神・淡路大震災から1年を迎えるにあたり、関連ニュースが各局で放送されました。また、漫才師の横山やすし氏が死去し、テレビ各局で追悼番組が組まれました。フジテレビの『ダウンタウンのごっつええ感じ』で放送されていた氏のパロディコントは打ち切りとなりました。

この年のテレビ界で大きな影を落としたのが、TBSビデオ問題です。3月には『筑紫哲也ニュース23』で筑紫哲也氏が局の対応を厳しく批判する発言を行い、話題となりました。4月には第三者委員会の報告を受けて社長が辞任し、特別番組で検証と謝罪が行われるなど、局は対応に追われ、番組編成にも影響が出ました。

夏には、国民的俳優である渥美清氏が死去。ドラマ版を制作したフジテレビや、映画版にゆかりの深いテレビ各局で追悼番組や主演作品の放送が行われました。また、『どうぶつ奇想天外!』の取材中に写真家の星野道夫氏がヒグマに襲われて亡くなるという痛ましい事故も発生しました。東芝が談合事件を受けてスポンサー活動を自粛した影響で、『東芝日曜劇場』やアニメ『サザエさん』の提供クレジットが変更されました。

業界の動きと記念

放送局の動きとしては、10月1日に岩手朝日テレビが開局し、東北地方におけるテレビ朝日系列のフルネット化が完了しました。この開局は、現在のところテレビ朝日系列最後の開局となっています。また、福岡ではRKB毎日放送とテレビ西日本が相次いで新社屋へ移転しました。

番組や放送局の周年記念も多く、TBSの『日曜劇場』やNHKの『連続テレビ小説』、『みんなのうた』が放送開始40周年、日本テレビの『笑点』やテレビ朝日の『日曜洋画劇場』が放送開始30周年、朝日放送の『新婚さんいらっしゃい!』や日本テレビの『ごちそうさま』が放送開始25周年を迎えました。また、テレビ朝日系の『徹子の部屋』も放送開始20周年を迎えました。

注目された視聴率

この年は、関東地区で多くの番組が高視聴率を記録しました。特にスポーツ中継が強く、プロ野球日本シリーズやアトランタオリンピック関連の中継が高視聴率を獲得しました。ドラマでは、NHK大河ドラマ『秀吉』やフジテレビの月9ドラマ『ロングバケーション』、TBSの『渡る世間は鬼ばかり』などが高い関心を集めました。バラエティ・歌番組では、『NHK紅白歌合戦』が圧倒的な視聴率を記録したほか、『マジカル頭脳パワー!!』や『SMAP×SMAP』、『THE夜もヒッパレ』なども人気を博しました。

このように1996年は、社会情勢を映し出し、数多くの新番組が誕生し、メディアとしてのテレビが多様化への道を歩み始めるなど、様々な出来事が交錯した一年でした。

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