1997年の日本公開映画

1997年（平成9年）は、日本の映画館に国内外から非常に多種多様な作品が届けられた年でした。この年に商業公開された映画作品は、ハリウッドの大作から各国の個性的なアートフィルム、活気あふれるアジア映画、そして日本独自の豊かなアニメーションや実写映画まで、幅広い選択肢を日本の観客に提供しました。

公開された作品群の中で、特に数を占めたのはアメリカ合衆国製作の映画でした。SF、アクション、ドラマ、コメディなど、様々なジャンルの話題作が多数公開され、観客動員においても中心的な役割を果たしました。歴史的な超大作として社会現象を巻き起こした『タイタニック』は年末の公開ながら圧倒的な存在感を示しました。夏には続編として『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク|ロスト・ワールド_ジュラシック・パーク』が人気を博し、SFコメディ『メン・イン・ブラック』もヒットしました。伝記ミュージカル映画『エビータ』、異色のSFアクション『フィフス・エレメント』、そして『コン・エアー』や『エアフォース・ワン』といった緊迫感あふれるアクション大作も公開リストに名を連ねました。また、現代ホラーのヒット作『スクリーム』や、災害パニック映画『ボルケーノ』なども話題を提供しました。

アメリカ以外の海外作品も多様でした。イギリスからは、男性ストリッパーをユーモラスに描いた『フル・モンティ』や、重厚な人間ドラマ、サスペンスなどが公開されました。フランス映画は、個性的な作家性の強い作品からコメディまで幅広く紹介され、アジア映画では、活気ある香港映画が引き続き人気を保ち、アクションやノワール作品が多数公開されました。また、台湾の『熱帯魚』、韓国の『祝祭』や『明日に流れる川』といった作品も日本で公開され、アジア映画の多様性を示す一年でもありました。カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ各国の作品も公開され、世界の映画の動向を知る機会を提供しました。

日本映画もまた、注目すべき作品を多数生み出しました。特にアニメーション映画は、この年の映画界の大きな牽引力となりました。スタジオジブリの『もののけ姫』は、その壮大なスケールとテーマ性で多くの観客を魅了し、日本映画史に残る記録的な大ヒットとなりました。また、熱狂的なファンを持つテレビシリーズの劇場版『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』とその完結編『Air/まごころを、君に』が公開され、大きな反響を呼びました。人気シリーズの劇場版として『ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記』や『クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』なども安定した人気を見せました。実写邦画では、今村昌平監督がカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した『うなぎ』、森田芳光監督の話題作『失楽園』、山田洋次監督の『虹をつかむ男 南国奮斗篇』、黒沢清監督の先駆的なサスペンスホラー『CURE キュア』、三谷幸喜監督のヒットコメディ『ラヂオの時間』などが公開されました。また、『時をかける少女』、『学校の怪談3』、人気シリーズ『釣りバカ日誌9』など、多様なジャンルの作品が製作され、日本の観客に届けられました。

1997年の日本公開映画は、ハリウッドのエンターテインメント大作から、世界の多様な文化を映し出す各国の作品、そして日本のアニメーションや実写映画の力作まで、ジャンル、国籍ともに非常に豊かなラインナップを誇りました。この年は、日本の映画ファンが国際的かつ多様な視点から映画を楽しむことができる、実り多い一年だったと言えるでしょう。

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