1997年アルバニア暴動

1997年アルバニア暴動

1997年3月、アルバニア共和国で発生した全国的な暴動は、経済の破綻によって引き起こされ、多くの市民が自己の損失を訴えて立ち上がりました。この一連の出来事は「アルバニア宝くじ暴動」とも呼ばれ、また国家が一時的に無政府状態に陥ったことから「アルバニアの無政府化」という名称でも知られています。

背景

1992年、冷戦の終結を受けてアルバニアは民主化の道を選び、サリ・ベリシャ大統領のもと、経済の自由化が進められました。しかし、急速な自由経済の導入は混乱と経済犯罪を招き、その中でも特に無限連鎖講（いわゆるネズミ講）が広まりました。アルバニアでは、周辺国の紛争から武器を密輸することで外貨を獲得し、その資金がネズミ講の活動にも流用される状況が続いていました。政府はこの不法な行為を黙認し続けましたが、1997年1月に紛争が収束することで武器密輸が破綻し、ネズミ講の利益支払いも滞ることになりました。

暴動の発生

1997年1月、大規模な破産者の集団が形成され、彼らはかつての投資金の返還を求めて暴動を引き起こしました。2月になると暴動は拡大し、3月には首相が辞任、続いて非常事態宣言が発令されました。暴動は南部で始まりましたが、次第に北部へも波及していきます。政府は北部での治安回復に成功したものの、南部では軍の反乱やマフィアの勢力拡大により無政府状態が続きました。

国際社会の介入

この局面を受けて、国際社会は自国民の保護を目的とした救出作戦を展開し、オペレーション・アルバやオペレーション・リベレなどが実施されました。国連も治安回復のための介入を決定し、1997年3月28日には国連兵が派遣される運びとなりました。4月に入ると「オペレーション・サンライズ」が発動され、首都ティラナの治安が監視下に置かれることで、ようやく騒動は終息へ向かいました。

総選挙とその後

暴動終了後も、サリ・ベリシャ政権に対する不満は解消されず、1997年6月の総選挙ではアルバニア社会党が勝利し、ベリシャ政権は退陣に追い込まれました。暴動とその鎮圧により、約3700人から5000人の負傷者が出ており、経済への影響も大きかったことが記録されています。

この暴動は単なる政府への抗議にとどまらず、南北の対立構図を浮き彫りにしており、内戦の背景には複雑な社会的・文化的な対立があったことを示しています。後の2005年には、ベリシャが政権を再び奪還することになりますが、その時点でもアルバニアは深い経済的・社会的傷を抱えたままでした。

結論

1997年のアルバニア暴動は、経済政策の失敗が引き起こした国民の怒りが爆発した結果であり、結果として国際社会の介入を招く事態となりました。この一連の事件は、アフターコロニアルな経済の不安定さと市民権の実現に向けた課題を浮き彫りにしています。

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