1998年のロードレース世界選手権

1998年FIMロードレース世界選手権：ホンダの支配と波乱のタイトル争い

1998年のロードレース世界選手権は、500ccクラスでミック・ドゥーハンとホンダの圧倒的な強さが際立ったシーズンとなりました。ドゥーハンは8勝を挙げ、ホンダは13勝と圧倒的な勝利数を記録しました。ヤマハ勢はイギリスGPでのサイモン・クラファーの1勝のみという結果に終わっています。一方、ルーキーのマックス・ビアッジが衝撃的なデビューウィンを飾るなど、シーズン序盤は波乱含みの展開を見せましたが、ドゥーハンは最終的に4連勝でシーズンを締めくくり、5年連続チャンピオンに輝きました。

しかし、この年の大きな話題は250ccクラスのタイトル争いでした。ホンダのNSR250がフルモデルチェンジに失敗したことが、シーズンを大接戦へと導いたのです。アプリリア勢の原田哲也、ロリス・カピロッシ、そしてバレンティーノ・ロッシの3人がタイトル争いを展開し、最終戦アルゼンチンGPは手に汗握る展開となりました。最終ラップ、最終コーナーで2位を走っていた原田に3位のロリス・カピロッシが接触。両者コースアウトというアクシデントが発生しました。この結果、ロッシが優勝。コースに復帰したカピロッシが2位でフィニッシュし、劇的な形でタイトルを獲得しました。

しかし、この勝利には影がありました。カピロッシの接触行為はアプリリアの怒りを買い、チャンピオン獲得にもかかわらず契約を解除され、チームを放出されるという事態に発展したのです。その後、カピロッシはグレシーニ・レーシング以外のほとんどのチームから契約を拒否されるという厳しい状況に陥りました。この出来事は、レース界に大きな衝撃を与えたと言えるでしょう。

125ccクラスでは、アプリリアの坂田和人が、眞子智実、マルコ・メランドリらとの激しい争いを制し、見事に2度目の世界チャンピオンに輝きました。ライバルたちの猛追を振り切り、実力を見せつけたシーズンとなりました。

さらに、この年から環境保護の観点から、レースで使用されるガソリンは無鉛化されました。これは、モータースポーツ界における環境への意識の高まりを示す重要な出来事でした。

1998年シーズンは、ホンダの圧倒的な強さ、そして250ccクラスでの波乱の結末、125ccクラスでの坂田和人の活躍、そして無鉛ガソリン導入など、様々な出来事が記憶に残るシーズンとなりました。各クラスの最終順位やエントリーリストなどの詳細は、公式記録を参照ください。

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