1998年の台風

1998年の台風

1998年に発生した台風は、統計開始以来、特異な記録が数多く残る年となりました。特に、台風の発生時期が著しく遅かった点が特徴です。年間を通して台風の発生が少なく、発生した台風もそれぞれが統計史上最も遅い時期に発生しました。しかし、日本への接近や上陸は比較的多く、その影響は無視できないものでした。

記録的な遅い発生

1998年の台風1号「ニコル」は、7月9日に発生しました。これは、1951年の統計開始以来、最も遅い記録です。台風1号の発生が7月に入ったのは、過去に1973年と2016年を含めた3回しかありません。このため、前年の台風28号消滅から台風1号が発生するまでの199日間は、台風が全く存在しない空白期間としては統計史上最長の記録となりました。

この遅い発生の傾向は、他の台風にも当てはまります。台風2号から16号まで、全ての台風がそれぞれの番号の台風として統計史上最も遅い発生日を記録しました。年間発生数はわずか16個にとどまり、これは当時の最少記録（現在は2010年の14個に次いで2番目）です。

日本への影響

1998年に日本に接近した台風は8個、上陸した台風は4個でした。台風の総数が少ないにも関わらず、上陸数が比較的多いのが特徴です。特に、9月には5個の台風が相次いで発生し、全てが日本に接近または上陸しました。

各台風の活動状況

以下に、1998年に発生した各台風の詳細を記します。

台風1号 (ニコル)：統計史上最も遅い発生。前台風消滅から199日間台風不在の空白期間を記録。
台風2号 (オットー)：台風2号として統計史上最も遅い発生。8月以降に発生した唯一の台風2号。
台風3号 (ペニー)：台風3号として統計史上最も遅い発生。8月以降に発生した台風3号は1998年と2020年のみ。
台風4号 (レックス)：8月25日に沖縄近海で発生し、発達しながら日本の南海上を東進。その後、小笠原諸島に接近し、本州付近に停滞していた前線に湿った気流を送り込み、東日本と中日本の一部に豪雨をもたらしました。台風の進行速度が遅く、長時間の降雨となりました。
台風5号 (ステラ)：9月14日に父島の南海上で発生し、勢力を強めながら北上。16日に静岡県御前崎付近に上陸し、関東、東北地方を縦断後、北海道に再上陸し、温帯低気圧へ。
台風6号 (トッド)：9月16日に南西諸島の南で発生し、南大東島の東海上で大型で強い勢力となる。その後、中国大陸へ上陸。
台風7号 (ヴィッキー)：9月17日に南シナ海で発生し、フィリピンに上陸後、再び発達しながら日本に接近。22日に和歌山県御坊市付近に上陸し、その後も勢力を保ったまま日本海側へと進み、東北地方北部で温帯低気圧に変わりました。前日に紀伊半島に上陸した台風8号に続き、紀伊半島に上陸。
台風8号 (ワルド)：9月20日に沖ノ鳥島付近で発生。21日に和歌山県田辺市付近に上陸し、その後は熱帯低気圧に変わりました。この台風の上陸翌日には台風7号が紀伊半島に上陸。
台風9号 (ヤニー)：詳細な情報が不足しています。
台風10号 (ゼブ)：10月11日にマリアナ諸島で発生し、スーパータイフーンに発達。17日に鹿児島県枕崎市付近に上陸。1951年以降7番目に遅い日本上陸、最も遅い九州上陸。上陸時は勢力が衰えていたものの、日本列島を高速で縦断しました。
台風11号 (バブス)：台風11号として統計史上最も遅い日時に発生。10月以降に発生した唯一の台風11号。
台風12号 (チップ)：台風12号として統計史上最も遅い日時に発生。10月以降に発生した台風12号は、1983年と1998年のみ。11月に発生した台風12号は、この年のみ。
台風13号 (ドーン)：台風13号として統計史上最も遅い日時に発生。11月以降に発生した台風13号は、この年のみ。
台風14号 (エルビス)：台風14号として統計史上最も遅い日時に発生。11月以降に発生した台風14号は、この年のみ。
台風15号 (フェイス)：台風15号として統計史上最も遅い日時に発生。11月以降に発生した台風15号は、この年のみ。
台風16号 (ギル)：台風16号として統計史上最も遅い日時に発生。11月以降に発生した台風16号は、この年のみ。

1998年の台風は、発生時期の遅さと、それにも関わらず日本に上陸した台風が多かったという点で、特異な年として記録されています。各台風の個別データも、発生時期の遅さを如実に示しています。

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