1999 GRAND CROSS TOUR

『1999 GRAND CROSS TOUR』は、L'Arc〜en〜Cielが1999年に開催したコンサートツアーであり、彼らのキャリアの中でも特に大規模かつ印象的なものとして知られています。このツアーは、同年7月にリリースされた6枚目のアルバム『ark』と7枚目のアルバム『ray』を引っ提げて、全国6都市で12公演が開催されました。特筆すべきは、このツアーがL'Arc〜en〜Cielにとって初の全会場野外という形式で行われたことです。

ツアー概要

ツアータイトルである「GRAND CROSS」は、西洋占星術における「グランドクロス」という天体配置に由来しています。これは、1999年8月に実際に起こった惑星直列の一種で、当時流行していた『ノストラダムスの大予言』と関連付けられ、世紀末的な不安を煽る要素として注目されていました。L'Arc〜en〜Cielは、この不吉な象徴を逆手に取り、アルバムのリリース日を「恐怖の大王が襲来する日」に合わせるなど、プロモーション戦略にもこの要素を取り入れました。

ステージの選定においては、「誰もコンサートをやっていない場所で開催する」というコンセプトが掲げられました。既存のスタジアムではなく、駐車場や広場といった場所に特設ステージが設置され、その結果、全12公演で約65万人を動員するという、バンド史上最大規模のツアーとなりました。しかし、これらの場所はコンサートを想定して作られたものではなかったため、ほぼ全ての会場で地盤整備が必要となり、多大な費用と労力が費やされたと言います。例えば、大阪公演で使用した大阪コスモスクエアの駐車場では、観客を入れるために大阪湾の埋め立て工事まで行われたそうです。

また、このツアーは全国各地を回る形式だったため、設営スケジュールが非常にタイトで、関係者は大変な苦労を強いられたと語っています。舞台監督、舞台装置担当、制作担当の3人が、月曜日の朝に会場入りして測量を行い、ステージを設置する場所を決め、地ならしなどの作業を開始。その後、照明や音響などのスタッフが合流し、木曜日の夜にはようやくコンサート会場としての形が整うという状況でした。金曜日にはメンバーがリハーサルを行い、土日には本番を迎えるという、非常にハードなスケジュールでした。

ステージセットと演出

ステージセットは、メインステージとサブステージの2つで構成され、その規模は非常に巨大でした。メインステージは、横幅170mにも及ぶ仮設ステージで、中央にはアルミニウム製の巨大な球体装置が設置されました。この球体装置は、川崎重工業が製作したもので、前面ゲートが開閉する仕組みになっていました。また、ステージには炎を出す特殊効果装置が多数設置され、そのためにラスベガスの業者から機材を取り寄せたそうです。メインステージからサブステージへの移動には、「HEAVEN'S DRIVE号」と呼ばれる改造車が使用されましたが、東京公演では許可が下りず、徒歩での移動となりました。

セットリストは、各会場の1日目に『ark』の収録曲、2日目に『ray』の収録曲を中心とした構成で、演出面でも1日目と2日目で細かい差異がありました。特に2日目の公演では、メンバーの登場にポップアップが使用されるなど、特別感のある演出が施されました。

ツアー最終公演となった東京ビッグサイト駐車場特設ステージでの公演では、2日間で計25万人を動員し、バンドの自己最多動員記録を更新しました。さらに、初日の公演はViewsicで生中継され、翌日の公演はchannel Vを通じてアジア各国にも生放送されました。この生放送は、約1億人の視聴者を獲得したと言われています。

ツアーの記録とメンバーの回想

このツアーの模様は、ライブビデオ『1999 GRAND CROSS CONCLUSION』に収録されています。このビデオは、東京公演2日目の模様を収めたもので、オリコン週間ビデオチャートで首位を獲得するなど、大きな成功を収めました。また、2007年には東京公演初日の模様が、2011年には大阪公演初日の模様が、それぞれ別のライブ映像作品に収録されています。さらに、2021年には、WOWOWとバンドのコラボレーション企画として、東京公演2日目の模様が放送されました。

メンバーは後年のインタビューで、このツアーを「L'Arc〜en〜Cielの歴史の中で記憶に残っているライブ」として挙げています。hydeは自叙伝で、観客の多さに圧倒されたと語り、tetsuyaは「ラルク史上最大規模のツアーだから印象に残っています」と述べています。また、kenは、このツアーで見た景色をイメージして楽曲「LOVE FLIES」を制作したと語っています。

1999 GRAND CROSS CONCLUSION

『1999 GRAND CROSS CONCLUSION』は、1999年12月1日にリリースされたライブビデオで、「1999 GRAND CROSS TOUR」の最終公演である東京公演2日目の模様が収録されています。この作品は、VHSとDVDの2形態でリリースされました。DVD版には、サブアングル映像やメンバーに焦点を当てたアングル映像が収録されており、ファンにとっては見どころ満載の内容となっています。オリコン週間DVD総合チャートで首位を獲得し、日本レコード協会からプラチナ認定を受けています。

まとめ

「1999 GRAND CROSS TOUR」は、L'Arc〜en〜Cielの歴史において、そのスケールと演出の面で特筆すべきツアーです。野外会場のみで行われたこと、前代未聞のステージセット、そして何より多くの観客を動員したことなど、多くの点で後世に語り継がれるべきライブであったと言えるでしょう。

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