1/4tトレーラ

1/4tトレーラ

概要

「1/4tトレーラ」（よんぶんのいっトントレーラ）は、陸上自衛隊において人員や装備品、資材などを輸送するために用いられる軽量なトレーラ（被牽引車両）の一種です。このトレーラは自身では走行する能力を持たず、主に73式小型トラック（現在は1/2tトラックと呼称される車両）などの小型車両によって牽引されて運用されます。軍事分野では、装備品の積載量などをトン単位で表すことが通例となっており、このトレーラが約250kg（グラムに換算すると250,000gであり、これは約1/4トンの積載能力に相当します）の物資を運搬できることから、「1/4tトレーラ」という名称が与えられています。そのコンパクトさと汎用性から、部隊の様々な任務において重要な役割を果たしています。

特徴と構造

1/4tトレーラの基本的な設計は、かつて第二次世界大戦中から戦後にかけてアメリカ陸軍が日本に持ち込んだとされる各種のトレーラ（例えばT3、MB-T、M100、M416など）を原型としており、構造や重量面において、これらのアメリカ製トレーラと強い類似性が見られます。原型となったモデルの一部には、水上を渡る「渡河」の際に水に沈まないよう、荷台の側面に開閉可能な「あおり」を持たない舟形構造を採用し、浮力を確保する設計がなされていました。これは、水辺が多い戦場における機動性を意識した特徴と言えます。

しかし、近年国内で製造・調達されているモデルでは、物資の積載や積み下ろしの利便性を向上させるためか、後部に開閉できる「あおり」が備えられるなど、一部仕様に変更が見られます。トレーラを牽引車両に接続するための連結装置には、軍用車両で広く用いられる「ピントルフック」と呼ばれる方式に対応した「ルネットアイ」と呼ばれる円形の連結環が採用されています。このルネットアイとピントルフックの組み合わせにより、不整地走行時などにおいても外れにくい強固な連結が可能となっています。

また、製造時期やモデルによって細かな差異が存在すると考えられており、時期は明確ではありませんが設計変更（マイナーチェンジ）が行われたことが知られています。特に、現在部隊に供給されている新しいタイプの1/4tトレーラは、これを牽引することが多い1/2tトラックと共通仕様の18インチホイールを装着しています。これにより、部品の共通化による整備性の向上や、補給部品の管理簡素化などが図られていると推測されます。

運用と用途

陸上自衛隊において、1/4tトレーラはその積載能力と機動性を活かして、様々な物資の輸送に用いられています。具体的な運用例としては、対戦車誘導弾システムや迫撃砲とその砲弾といった比較的重量のある火器類、あるいは部隊が任務遂行に必要とする少量の補給品や資材、さらには隊員個人の装備品や荷物などを部隊の展開地域や演習地へ輸送する際に頻繁に使用されます。小型であるため狭い場所や不整地でも牽引しやすく、必要な物資を迅速に前線や展開拠点へ届けるための重要な手段の一つとなっています。

その他

過去には、昭和の時代に三菱自動車工業から「Jeep1/4トントレーラーMN-T25」という名称で、一般市場向けにナンバープレートを取得して公道を走行できる仕様のモデルも製造・販売されていた実績があります。これは、自衛隊向けモデルをベースとしつつ、民生用途での使用を考慮した改良が施されていたものと考えられます。

現在、陸上自衛隊向けの1/4tトレーラの製造は、株式会社ソーシン（旧社名：千代田自動車工業株式会社）によって行われています。長年にわたり自衛隊車両の製造に関わってきた実績を持つ企業です。

関連項目

陸上自衛隊の装備品一覧
73式小型トラック

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