73式小型トラック

73式小型トラックの概要

73式小型トラックは、1973年に日本の自衛隊向けに導入された汎用の小型トラックです。製造を担当したのは三菱自動車工業であり、この車両は当初防衛庁のニーズに応えるために設計されました。1970年代には、ジープのライセンス生産を行っていた三菱自動車が、従来の1/4tトラックの後継車両として73式を開発しました。

車両の仕様と特徴

一期（1973年 - 1997年）

一期では、J-24A/23A/25A型と呼ばれるモデルが登場しました。これらは、四輪駆動のトラックであり、一般的に「ジープ」「パジェロ」といった通称で知られています。マニュアルトランスミッションに加え、副変速機を備えており、操縦しやすさを考慮した設計が特徴です。車両のエンジン始動はキー式ですが、初期型から中期型までは安全のためのキルスイッチも装備されています。

この車両は多用途性が求められており、60式106mm無反動砲や64式対戦車誘導弾を搭載する派生型も存在します。警務隊用車両としての仕様には屋根がないため、運用時には警光灯が設置され、法執行をサポートしています。

また、個々の車両には使用目的に応じた車番が付与されており、これによって通常仕様や装備が異なることが明確にされています。無線機の搭載については、運転席後部の座席を畳むことで設置が可能となっており、最大で4名の乗員が運用されます。

二期（1996年 - 現在）

二期では、より現代的な装備を持つ「73式小型トラック（新）」が1996年に採用されました。これは、2代目パジェロをベースとし、ショートホイールベースモデルを改良したものです。この新型は、利便性を向上させるためにエアコンやアメニティが追加されています。特に、排ガス規制に対応した設計が求められる現代において、民生品の部品を流用したことは重要な進展です。

新型トラックは「1/2tトラック」として公式の呼称が変更されており、これまでは73式という名称が残っていましたが、利便性を求める上で見直されました。４WDの機構や大径タイヤ、さらに無線機を搭載できる複数の構造も採用されており、機動力や運用性が大幅に向上しています。役割に応じた装備が可能となり、緊急車両としての指定も受けています。

運用状況

73式小型トラックは長い運用歴を持ちますが、近年では耐用年数の経過により廃車が進んでいます。特に旧型については部品調達が難しくなり、運用する部隊では必要最低限の運用維持が求められています。2021年には製造元の工場が閉鎖され、製造工程が別の工場へ移管され、新たな生産が続けられる見込みです。また、2023年にはウクライナに戦車や高機動車と共に73式小型トラックが提供されることが発表され、国際的な協力も進んでいます。

これらの情報から、73式小型トラックは、自衛隊の重要な装備の一つであり、その歴史と進化が巧みに組み合わさり、高い多用途性を持った車両として現在も運用され続けています。

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