2つのメロディ (グリーグ)

2つのメロディ 作品53

エドヴァルド・グリーグが1890年に作曲した『2つのメロディ』作品53は、2曲からなる弦楽合奏曲です。原題はノルウェー語で「To melodier」と表記され、「2つの旋律」とも訳されます。この作品は、グリーグが以前に作曲した歌曲を弦楽合奏用に編曲したもので、彼の歌曲作品の魅力を新たな形で引き出しています。

構成

この作品は、以下の2曲で構成されています。

1. 第1曲 ノルウェーの旋律
原題：Norsk
原曲：歌曲集『12のメロディ』作品33の第12曲「到達点」(Fyremål)
構成：軽快な舞曲風の主部と中間部からなる3部形式。

この曲は、原曲の持つ軽快なリズムと旋律を生かし、弦楽合奏ならではの豊かな響きが加わることで、より魅力的な音楽となっています。

2. 第2曲 初めての出会い
原題：Det første mødes
原曲：歌曲集『「漁師の娘」からの4つの詩』作品21の第1曲
特徴：グリーグの代表的な歌曲の一つ。管弦楽伴奏版も存在するが、グリーグの生前には発表されなかった。

この曲は、原曲の歌詞が持つ感情の変化を巧みに表現しています。冒頭は穏やかに「初めての出会いの甘美さ」を歌い始め、次第に盛り上がりを見せ、最後は情熱的なクライマックスを迎えます。構成は主題旋律が2回繰り返されるシンプルな形ですが、その中に込められた感情の起伏が聴き手を惹きつけます。

出版

『2つのメロディ』は1891年にライプツィヒのペータース社から出版されました。その後、ピアノ独奏用にも編曲され、同社から出版されています。

原曲について

第1曲「ノルウェーの旋律」は、歌曲集『12のメロディ』作品33からの編曲です。オスムン・オラヴソン・ヴィニエの詩に曲がつけられています。
第2曲「初めての出会い」は、歌曲集『「漁師の娘」からの4つの詩』作品21からの編曲です。ビョルンスティエルネ・ビョルンソンの詩に曲がつけられています。この曲は、グリーグの歌曲の中でも特に人気が高く、様々な演奏形態で親しまれています。

まとめ

『2つのメロディ』作品53は、グリーグの歌曲作品を弦楽合奏の美しい響きで楽しめる作品です。原曲の旋律の魅力を最大限に引き出しながら、弦楽合奏ならではの豊かな表現が加わり、グリーグの音楽世界をより深く堪能することができます。それぞれの曲が持つ感情の起伏や、旋律の美しさをじっくりと味わってみてください。

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