2ステップ

2ステップガラージ：UKガラージの進化系

2ステップガラージ、または略して2ステップは、UKガラージのサブジャンルとして1990年代後半から2000年前後に隆盛を極めたダンスミュージックです。ハウスミュージックのような均質な4つ打ちビートとは異なり、独特の変則的なリズムが最大の特徴です。

リズムとサウンド

2ステップガラージの最も顕著な特徴は、その非連続的なリズムパターンにあります。一般的な4つ打ちビートでは、キックドラムは各小節の1拍目と3拍目に配置されますが、2ステップでは2拍目と4拍目のキックドラムが省略される、あるいは弱められることが多く、独特のグルーヴを生み出します。シャッフルや3連符といったリズムの変則的な配置も頻繁に使用され、「よろめくようなファンク」と評される独特のグルーヴが形成されています。

このリズムの欠落は、単なる4つ打ちビートの単純な省略ではありません。シンコペーションを巧みに用いたベースラインや、パーカッション以外の音をパーカッションのように用いるなど、リスナーの注意を引きつけ、飽きさせない工夫が凝らされています。楽器編成は、キーボード、シンセサイザー、ドラムマシンが基本となりますが、ギター、ピアノ、管楽器といった楽器も、サンプリングなどを含め、楽曲に彩りを添えています。ベースラインはUKガラージやドラムンベース、ジャングルからの影響を受けつつも、ファンクやソウルからの影響も感じられ、洗練されたサウンドを形成しています。ボーカルは、ハウスやR&Bを思わせるスタイルから、アカペラを細かく分割してエフェクト処理を施したものまで、多様なアプローチが見られます。また、ライブパフォーマンスでは、ジャングルを彷彿とさせるMCが特徴的な場合もあります。

歴史と進化

2ステップは、スピードガラージなど、それまでのUKダンスミュージックシーンからの進化、あるいは反動として生まれました。ロンドンの海賊ラジオ局を中心に人気を博し、週末の朝の番組などで頻繁に放送されるようになります。次第に専用のクラブイベントがロンドンを中心に開催され、人気は高まりました。

1999年から2000年にかけては、商業的な成功を収め、メインストリームへの進出を果たします。特に、Artful DodgerとCraig Davidのコラボレーションによる「Re-Rewind」は全英シングルチャートで2位を記録するなど、大きなヒットとなりました。この時代の2ステップイベントは、それまでのジャングルやドラムンベースのイベントと異なり、より多くの女性や穏やかな雰囲気を求める人が参加するようになり、パーティーの様相も変化しました。

しかし、2000年以降は人気が下降。Horsepower Productions、Zed Bias、Wookie、Steve Gurleyといったアーティストたちが実験的な2ステップを制作し始めます。このスタイルは「ダーク・2ステップ」「ニュー・ダーク・スウィング」「ダーク・ガラージ」などと呼ばれ、ベースを強調するスタイルが後のグライムやダブステップに大きな影響を与えました。ダブステップへの回帰という動きもあり、2006年にはTempa Recordingsから『Roots of Dubstep』がリリースされ、再び注目を集めることになります。

著名なアーティスト

2ステップシーンを牽引したアーティストは数多く存在します。Artful Dodger (Original Dodger)、Wookie、MJ Cole、Craig David、So Solid Crewなどが、特に重要な役割を果たしました。

J-POPへの影響

2ステップは、日本のJ-POPにも少なからず影響を与えました。テイ・トウワ、bird、m-flo、平井堅、CHEMISTRYといったアーティストが、2ステップのリズムやサウンドを取り入れた楽曲を発表しています。近年では水曜日のカンパネラも、2ステップの影響を受けた楽曲を制作しています。

まとめ

2ステップガラージは、UKガラージから派生した重要なサブジャンルであり、その独特のリズムとサウンドは多くのアーティストに影響を与え、後のダンスミュージックシーンの発展に大きく貢献しました。その歴史、特徴、そしてJ-POPへの影響を理解することは、UKダンスミュージックシーン全体を理解する上で非常に重要です。

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