2典Plus

2ちゃんねる用語辞典「2典Plus」：インターネット文化の痕跡

「2典Plus」は、かつてインターネット上で公開されていた、2ちゃんねる（現5ちゃんねる）の用語を解説するオンライン辞書です。3000以上の2ちゃんねる特有の言葉が登録されており、2000年代のインターネット文化を知る上で貴重な資料と言えるでしょう。2003年の開設から約10年間、多くのユーザーに利用され、書籍化もされるなど、大きな影響力を持っていました。

2典から2典Plusへ

「2典Plus」の歴史は、2001年6月に始まった「2典」に遡ります。「編集長」というハンドルネームのユーザーが、NHKの番組『プロジェクトX』で紹介された広辞苑の制作に感銘を受け、2ちゃんねるのラウンジ板で「2ちゃん辞典」作成のスレッドを立ち上げたことが発端です。多くのユーザーが参加し、言葉を収集・編集することで辞書が作られていきました。

「2典」は、ユーザーの参加によって運営され、編集権は「編集長」から「2代目編集長」へと引き継がれました。「2代目編集長」が2ちゃんねるでの活動が途絶え、サイトの更新が滞るようになったことから、2003年2月27日、KENこと高橋賢氏が「2典」のデータを継承する形で「2典Plus」を開設しました。「2代目編集長」はこの引き継ぎを承認したとされています。

「2典Plus」では、ユーザーが用語を投稿し、KEN氏がそれらを編集・掲載するという運営方法がとられていました。しかし、2006年頃から用語の登録数が減少に転じ、2014年頃にはサイトが閉鎖されました。

書籍化と影響

「2典」と「2典Plus」に収録された用語は、書籍にもまとめられました。ブッキング社から2冊、宝島社から1冊が出版され、2ちゃんねる文化を広く知らしめる一役を担いました。さらに、2007年用の「2典日ちぎり」という日めくりカレンダーも発売されており、当時の人々の生活に深く浸透していたことがわかります。

「2典Plus」は、単なるオンライン辞書にとどまらず、2ちゃんねるという匿名性の高いインターネット掲示板におけるコミュニケーションや文化を記録し、後世に伝える役割を果たしました。閉鎖から時が経ちましたが、その存在は、インターネット文化史における重要な一ページとして記憶されています。当時を知る人々にとって、懐かしい思い出を呼び起こす存在であり、現代のネット文化研究者にとっても、貴重な研究資料となっています。

「2典Plus」の閉鎖後も、そのデータは一部保存されており、インターネットアーカイブなどで閲覧することができます。これらの資料を通じて、当時隆盛を誇った2ちゃんねる文化の一端に触れることができるでしょう。また、この辞書は、インターネット上のコミュニティが、どのようにして独自の言葉や文化を生み出していくかを示す、興味深い事例として、今後も研究対象として注目される可能性があります。

現在では、2ちゃんねるの文化は変化し、新たなプラットフォームやコミュニケーションツールが登場しています。しかし、「2典Plus」が記録した2000年代前半のネット文化は、後世の人々にとって、デジタル社会の歴史を理解する上で貴重な資料となることは間違いありません。

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