2-ノネナールとは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

2-ノネナールとは？

2-ノネナール（2-Nonenal）は、不飽和アルデヒドの一種であり、油臭くて青臭い独特のニオイを有します。熟成したビールやソバの重要な芳香成分である一方、品質が劣化したビールや、長時間加熱したリノール酸を豊富に含む食用油からも検出されます。また、オリス（ニオイアヤメ）、脂肪、キュウリといった物質の知覚概念にも関連しています。

加齢臭との関連

資生堂リサーチセンターの土師信一郎氏らの研究によって、ヒトの体臭中に2-ノネナールが存在することが発見され、加齢臭との関連が注目されるようになりました。

研究内容

2001年4月に発行されたJournal of Investigative Dermatology（JID）において、土師氏らは「2-Nonenal, Newly Found in Human Body Odor Tends to Increase with Aging（ヒト体臭中に新たに発見された2-ノネナールは加齢に伴い増加する傾向がある）」というタイトルの論文を発表しました。

この研究では、26歳から75歳までの男女22人に、3日間連続で同じシャツを夜間に着用させ、シャツに付着した体臭成分を抽出して分析しました。その結果、多くの体臭成分の濃度は年齢による影響が小さいのに対し、中高年では2-ノネナールの濃度が顕著に増加する傾向があることが分かりました。

さらに、2-ノネナールは皮膚表面に存在するパルミトレイン酸やバクセン酸のようなω-7不飽和[[脂肪酸]]の酸化的分解反応によって生成されることも明らかにしました。

皮膚表面の脂質分析

研究グループは、シャツに縫い込まれたガーゼパッドでサンプルを採取し、ヘキサン溶媒を用いて脂質を抽出することで、皮膚表面の脂質濃度を分析しました。その結果、サピエン酸のようなω-10脂肪酸の濃度は年齢による変化が見られない一方、ω-7脂肪酸の濃度は加齢に伴って増加することが確認されました。

ロート製薬の見解

ただし、ロート製薬の研究によると、19歳から79歳までの男女25人を対象にした試験では、41歳を境に増加した体臭成分はジメチルスルホンとベンゾチアゾールの2成分のみであったという報告があります。また、21歳から34歳までの女性10人を対象とした調査でも2-ノネナールが検出された事例もあり、ロート製薬は「女性の加齢臭は、中高年男性の加齢臭の原因として知られる2-ノネナールとは断定できない」としています。

まとめ

2-ノネナールは加齢臭の原因物質の一つとして知られていますが、その生成メカニズムや年齢・性別による違いなど、まだ解明されていない点も多くあります。今後の研究によって、加齢臭の予防や対策に繋がる新たな知見が得られることが期待されます。

2-ノネナール