20ミニュッツ (フランス)

20ミニュッツとは

「20ミニュッツ」（20 minutes, vingt minutes）は、フランスで広く読まれている無料配布の日刊新聞です。この新聞は、主に通勤や移動といった限られた時間の中で、手軽に情報を得たいと考える都市生活者を対象としています。その名前自体がフランス語で「20分」を意味しており、およそ20分で読み終えられるような編集方針が取られていることに由来します。この媒体は、シブステッド社によって発行されています。

創刊と拡大

フランス国内における「20ミニュッツ」の歴史は、2002年3月15日に首都パリで創刊されたことに始まります。創刊後、その手軽さと無料という特性が受け入れられ、発行地域は急速に拡大しました。現在では、パリ以外にもフランスの主要な11都市、具体的にはマルセイユ、リヨン、トゥールーズ、ニース、ナント、ストラスブール、モンペリエ、ボルドー、リール、レンヌ、グルノーブルといった都市（都市規模順）で発行されています。これにより、フランス国内の主要都市部で広く読者に届けられています。

発行状況と読者層

イプソスとCESPによる調査データによると、パリ都市圏における「20ミニュッツ」の発行部数は80万5000部に達し、読者数は239万9000人と推定されています。これは、無料紙としては非常に大きな規模であり、フランスのメディア市場における影響力の大きさを示しています。

発行元であるシブステッド社は、この新聞の読者層を「従来の有料紙を読む習慣があまりない、15歳から40歳までの若い都市生活者」と定義しています。この層は、忙しい日常の中で効率的に情報を収集したいと考えており、「20ミニュッツ」は彼らのニーズに応える形で成功を収めてきました。

版構成と市場での位置づけ

「20ミニュッツ」の各都市版は、全国共通の記事に加え、その地域に特化したニュースや情報を掲載する地域面を備えています。これにより、読者は全国的な出来事と同時に、自分たちの住む街の情報を手に入れることができます。

創刊以来、「20ミニュッツ」はフランスの無料新聞市場において主導的な地位を占め、多くの読者を獲得してきました。その成功は、他のメディア企業にも影響を与え、無料紙市場の活性化につながりました。

経営の変化と買収

しかし、メディア業界を取り巻く環境の変化、特に広告収入の減少は、「20ミニュッツ」にも影響を及ぼしました。2013年には広告収入が6%減少するなど、経営は厳しい状況に直面します。このような状況を受け、2014年3月には大きな動きがありました。競合する無料紙である「Metronews」と「Direct Matin」を発行していたフランスの大手メディアグループであるTF1およびボロレが、「20ミニュッツ」を買収し、これらの競合紙を「20ミニュッツ」へ統合する計画を発表しました。これは、無料紙市場における競争激化と収益性の課題に対応するための戦略と考えられます。

国際的な広がり

「20ミニュッツ」と同様に、「20分」という意味を持つタイトルの無料日刊紙は、フランス以外の国でも発行されています。例えば、スペインではスペイン語版の「20 minutos」が、スイスではフランス語版の「20 minutes」とドイツ語版の「20 Minuten」がそれぞれ発行されています。これらの新聞も、通勤時間など隙間時間に手軽に読めることをコンセプトとしており、「20ミニュッツ」のビジネスモデルが国際的に広がっていることを示唆します。

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