20世紀ノスタルジア

20世紀ノスタルジア

『20世紀ノスタルジア』（にじゅっせいきノスタルジア）は、1997年に公開された原將人が監督を務めた日本の映画です。本作は、広末涼子の映画デビューかつ初主演作としても知られ、90年代後半の東京を舞台にした一夏の青春と成長を描いています。

あらすじ

物語は、高校2年生の遠山杏（広末涼子）が、放送部に所属しているところから始まります。ある日、彼女はビデオカメラの練習中に転校生の片岡徹（圓島努）と出会います。片岡は「宇宙人チュンセ」と名乗り、杏を「ポウセ」と呼び、ふたりは一緒に映画を作ることを決意します。夏休みを利用しての撮影が始まりますが、予定通りにいかず、片岡はオーストラリアに転校してしまいます。

2学期を迎え、杏は片岡からの連絡がないことに失望し、やる気を失ってしまいます。しかし、親友のひろ子と放送部の顧問の後押しにより、彼女は再び編集作業に取り組むことにします。片岡が残した未編集のテープを視聴することで、杏の情熱がよみがえり、彼女は映画作りの続きを決意します。他のシーンを追加撮影して、未完成だったラストシーンも改めて撮影し、ついに映画を完成させることを目指します。

制作背景

本作の中で、片岡と杏が名付けた「チュンセ」と「ポウセ」というキャラクター名は、宮沢賢治の詩『双子の星』に由来しています。実際、広末はブレイクする前の1995年8月から撮影が開始されたものの、一時中断がありました。彼女が有名になった後の1997年1月に撮影が再開され、シナリオも合わせて変更されました。

主演の広末涼子は、原監督からはその演技力と姿勢を高く評価され、「女優菩薩」と称賛されるほどです。映画内の多くのシーンは、出演者自らがビデオカメラを手に撮影されています。また、劇中音楽も多く使用され、原監督が全てを手がけており、そのサウンドトラックも話題を呼びました。

キャストとスタッフ

この映画のキャストには、他に多田亜沙美、北村嘉代、根岸吉太郎など、若手俳優たちが参加しています。映画の制作には、監督の原將人をはじめ、脚本の中島吾郎、撮影の馬場順一など、多くの才能が結集しています。

受賞歴

『20世紀ノスタルジア』は公開後、多くの賞を受賞しました。原監督は日本映画監督協会新人賞を受章し、広末涼子も新人俳優賞など数々の新人賞を獲得するなど、その評価は高まりました。

ピックアップされたロケ地も話題で、隅田川周辺や東京タワーなど、90年代の東京を感じさせる場所が使われています。これにより、観客は自身の青春を振り返ると同時に、ロマンあふれる物語を楽しむことができるでしょう。

映画ファンからもカルト的な人気を誇る本作は、広末涼子の女優としてのスタートを飾った重要な作品であり、日本映画界において特別な位置を占めています。

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