2001夜物語

2001夜物語

『2001夜物語』（にせんいちやものがたり）は、漫画家・星野之宣によるSF作品。その壮大なスケールと深遠なテーマは、アニメやラジオドラマなど様々なメディアにも展開され、多くのファンを魅了し続けています。

作品概要

本作は、1984年から1986年にかけて『月刊スーパーアクション』（双葉社）で連載されました。単行本はアクションコミックスから全3巻で刊行され、その後、愛蔵版や文庫版も登場。2007年には、雑誌掲載時の形式に合わせた原型版が刊行されるなど、長年にわたり様々な形で親しまれています。また、英語をはじめとする多数の言語に翻訳され、海外でも高い評価を得ています。

タイトルは、『千夜一夜物語』とアーサー・C・クラークのSF小説『2001年宇宙の旅』に由来しており、内容も冒頭部分は『2001年』へのオマージュとなっています。各話のタイトルは、欧米の著名な古典的SF作品から引用されているのが特徴です。

ストーリー

20世紀後半、人類は宇宙開発を推し進め、有人宇宙飛行や宇宙ステーションの打ち上げ、地球外生命の痕跡の発見などを実現します。月で有用な鉱物資源が発見されたことで、宇宙開発は自給自足の段階に入り、人類は太陽系全体へと活動範囲を広げていきます。そして、恒星間航行という新たな試みが始まります。

凍結された精子と卵子を積んだ宇宙船をコンピューターで制御し、生存に適した惑星を発見した時点で受精・育成を行う「人類播種計画」や、地球人類の文化と宇宙の知的生命へのメッセージを記録した外宇宙探査システムなどが開発されます。また、人工冬眠技術も実用化され、人類はより遠い宇宙へと旅立つための準備を整えていきます。

21世紀初頭、海王星軌道の遥か外側で、新惑星ルシファー（魔王星）が発見されます。ルシファーは、太陽に匹敵する質量を持つ反物質星であり、強大なエネルギー源として利用されることになります。人工ブラックホールを利用した超空間航法「ミュー駆動」の開発により、瞬時恒星間飛行が可能となり、人類は宇宙へと飛躍的に進出していきます。

「人類播種計画」に種を提供したロビンソン夫妻の子孫たちは、代々宇宙事業に携わり、まだ見ぬ「子供たち」を援助し続けます。外宇宙に進出した人類は、驚異的な天体や生命体と次々と出会いますが、一方で、宇宙で生まれ育ち、高い知能と寿命を持つ「新世代」も誕生していきます。

24世紀、人類は半径150光年の範囲にまで進出しますが、地球外文明はいまだ発見されません。多くの植民地が予想外の障害に見舞われ、放棄されたり壊滅したりする中で、人類は疲弊の色を濃くしていきます。そして、地球外文明を探す最後の計画「グランド・セチ計画」が実施されますが、成果が得られなければ外宇宙から撤退するという厳しい条件が課せられていました。

ロビンソン一族の末裔であるアダム・ロビンソンがその計画に参加する頃、「子供たち」はくじら座タウ星系の惑星に到着します。同じ頃、決して光速以下にならない超光速粒子タキオンに自らをなぞらえ、「タキオニアン」と名乗る「新世代」の一団が、銀河縦断に向けて旅立とうとしていました。アダム、タキオニアン、「子供たち」はタウ星系で出会い、それぞれの道を歩んでいくことになります。

作品の特徴

壮大なスケール: 数世紀にわたる人類の宇宙進出を描き、宇宙の広大さと神秘を表現しています。
深遠なテーマ: 人類の存在意義、進化、異文化との接触など、哲学的なテーマを扱っています。
美しい映像: 星野之宣の緻密な作画と、アニメ版の美しい映像が、作品の世界観をより魅力的にしています。
SF作品へのオマージュ: 各話のタイトルやストーリーには、古典的なSF作品へのオマージュが散りばめられています。

TO (トゥー)

『TO』（トゥー）は、『APPLESEED』や『ベクシル 2077日本鎖国』を手がけた曽利文彦監督によるCGライブアニメOVA。『楕円軌道』（だえんきどう）と『共生惑星』（きょうせいわくせい）の2編が制作されました。

まとめ

『2001夜物語』は、SFファンのみならず、多くの人々に感動と興奮を与える作品です。人類の未来と宇宙の神秘に思いを馳せたい方は、ぜひ一度手に取ってみてください。

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