2001年桑名市空中衝突事故

2001年桑名市空中衝突事故の詳細

2001年5月19日に発生した桑名市空中衝突事故は、名古屋空港を離陸した2機の航空機が空中で衝突するという悲劇的な事故でした。この事故では、中日本航空のアエロスパシアル AS332L1とセスナ 172Pが関与し、両機に搭乗していた計6名が命を失いました。さらに地上でも1名が負傷し、2棟の住宅が全焼するなど多大な被害が及びました。

事故機の概要

アエロスパシアル AS332L1（JA6787）

この機体は1996年に製造され、事故当時の総飛行時間は2,160時間ほどでした。定期点検は2001年4月21日に完了しています。機長は54歳の男性で、9,441時間の飛行経験があり、AS332型機では933時間を有していました。訓練生は39歳で、総飛行時間は3,703時間、そのうちAS332での経験は24時間です。

セスナ 172P（JA4201）

この機体は1983年から運用されており、事故時の総飛行時間は4,901時間でした。定期点検は2001年5月14日に行われています。51歳の機長は11,179時間の総飛行時間を持ち、同機では7,928時間の経験がありました。訓練生は52歳で497時間の総飛行時間の内、254時間を同機での経験としていました。

事故の経過

事故当日は、両機とも名古屋空港を離陸し、指定された訓練空域での飛行を予定していました。AS332は11時02分に離陸し、約2時間の飛行後に戻る計画であったのに対し、セスナ172は11時15分からの訓練を行うはずでした。しかし、セスナのパイロットは訓練生の知人を無断で搭乗させており、管制官への通報がされていなかったのです。

両機は11時31分、桑名市播磨神社上空で空中衝突を起こしました。このときAS332の速度は約100ノット、セスナ172は85ノットでした。結果、AS332はで機体の後部が脱落し、セスナ172は主翼などを失い、両機とも墜落しました。

事故の影響と調査

この事故によって、搭乗者全員が死亡し、また地上でも怪我人が出るなど重大な被害が生じました。消防隊は事故現場に急行し、消火活動を行ったものの、煙と火が周囲に広がり、二つの住宅が燃え尽きました。

事故後の調査では、両機のパイロットの見張りの不足、並びにコリジョンコースに入ったことが主な原因として挙げられました。パイロット達は視認していたものの、相手機の存在に注意を払う余裕が無かったことが明らかになりました。

運輸安全委員会は、中日本航空に対し、運航管理体制の改善要請や複数機が同一空域で訓練を行わないよう提言しました。また、機体の死角を考慮した飛行訓練及び監視方法の徹底も促進しています。

この事故は航空安全を考える上での貴重な教訓となり、今後の運航管理や操縦訓練における重要な基盤となっていくことでしょう。

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