2002年の台風

2002年に発生した台風は、全部で26個と平年並みでした。しかし、その内訳にはいくつかの特徴が見られました。まず、8月末までに17個の台風が発生し、平年よりやや多めでしたが、9月と10月には合計6個と少なめでした。全体としてはほぼ平年並みだったものの、日本への接近や上陸に関しては特筆すべき点がありました。

日本に接近した台風は13個、上陸したのは3個（6号、7号、21号）でした。上陸数自体は平年並みですが、これらの台風はいずれも、通常台風の被害が多い九州や四国、紀伊半島ではなく、関東地方に上陸した点が異常でした。特に、7号は静岡県に上陸後、千葉県に再上陸しています。1年で3個の台風が関東地方に上陸したのは、1951年の統計開始以来初めてのことでした。

過去には、1958年にも複数の台風が関東地方を直撃した例がありますが、この時は3個の台風のうち、1個は厳密には関東地方に直接上陸したわけではありませんでした。そのため、2002年は記録上初めて、1年で3個以上の台風が関東地方に上陸した年となりました。

また、この年の台風には、以下のような特徴がありました。

台風の発生海域の偏り: 台風の発生位置の平均経度は、統計開始以降で最も東寄りでした。これは、エルニーニョ現象の影響によるものと推測されています。
越境台風の発生: 中部太平洋から日付変更線を越えて北西太平洋に侵入し、ハリケーンから台風になった「越境台風」が2個（17号、24号）発生しました。これは1951年以降初めてのことです。
低緯度で消滅する台風の減少: 低緯度で発生し、そのまま西進して消滅する台風が少なく、フィリピンを通過した台風もありませんでした。これも1951年以降初めてです。
7月の上陸台風: 7月に2個の台風が日本に上陸しました。これは1993年以来9年ぶり、統計開始以降3回目のことです。
* 9月の接近台風: 9月には日本に接近した台風がありませんでした。これは1987年以来15年ぶり、統計開始以降9回目のことです。

以下に、2002年に発生した主な台風の詳細をまとめます。

台風6号（ツァターン）

6月29日にトラック島近海で発生し、7月11日に千葉県館山市付近に上陸。その後、北海道釧路市付近に再上陸しました。この台風の影響で、日本各地で大雨による浸水被害が発生し、死者や行方不明者、負傷者が出ました。

台風7号（ハーロン）

7月20日に日本の南東で発生し、複雑な進路を辿った後、九州に接近して消滅しました。

台風13号（ファンフォン）

8月11日にポナペ島の北東で発生。大型で非常に強い勢力となり、紀伊半島の南海上で北東に進路を変えた後、北海道の東海上で温帯低気圧に変わりました。この台風により、床上浸水や床下浸水の被害が出ました。

台風15号（ルーサー）

8月23日に日本の南東で発生し、奄美大島北部を通過後、朝鮮半島に上陸しました。

台風21号（ヒーゴス）

9月27日に南鳥島の南海上で発生し、非常に強い勢力に発達しました。10月1日には神奈川県川崎市付近に上陸し、関東地方を縦断。その後、北海道に再上陸しました。この台風は、東日本に上陸した台風としては戦後最大級と報道されました。

台風22号（バービー）

10月8日にエニウェトク島の西で発生し、熱海港北防波堤で高波により多数の人が流される事故が発生しました。

台風26号（ポンソナ）

12月3日にグアム島近海で発生。グアム島などに大きな被害をもたらしました。この台風のアジア名である「ポンソナ」は、この台風限りで使用中止となりました。

2002年の台風は、発生数こそ平年並みでしたが、その特徴は多岐にわたり、記録に残る出来事が多く発生した年でした。

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