2006年の国際連合事務総長の選出

国連事務総長の選出（2006年）

2006年の国連事務総長選出は、前任のコフィー・アナン氏の任期満了を受け、新たな指導者を選ぶ重要なプロセスでした。7人の候補者が名乗りを上げ、選出の過程は多くの注目を浴びました。

選出プロセス

国連事務総長の選出には明確な公式ルールがほとんど存在しません。国際連合憲章第97条には「事務総長は、安全保障理事会の勧告に基づいて総会が任命する」と記されていますが、詳細な手続きは慣習によって補完されています。事務総長候補の勧告は安全保障理事会によって行われ、その中でも常任理事国（P5）には拒否権が与えられています。

候補者の資格についてもいくつかの非公式なルールがあり、事務総長の任期は2期まで、また前任者が担当した地域とは異なる地域グループから選出されるべきとされています。このため、アフリカ出身の候補者は選ばれないことが期待されていました。これに加えて、英語とフランス語を流暢に話すことが求められる場合がありますが、必須ではありません。

選挙プロセスでは、安全保障理事会が何度か非公開の事前投票を実施し、各候補者の支持率を測ります。支持が得られた候補者が見えた場合には、常任理事国の票がわかるように工夫した投票方法が取られます。9票以上で他の候補者よりも多くの票を得た候補者が、この時点で最も有望視されます。

背景

1971年以降、アジア出身の事務総長が誕生していないことから、新たに選出される事務総長はアジア出身者になるとの予測が広がりました。多くの安全保障理事会の理事国がアジア出身者を支持すると表明しており、特に東アジアからの声が強い状況でした。

また、国際的なフェミニズム団体は、これまでの全ての事務総長が男性であったことを受け、女性事務総長の選出を求めるキャンペーンを実施。多くの有能な女性がその候補として浮上しましたが、結局、指名を受けたアジア人女性はいませんでした。これに対してアメリカのジョン・ボルトン国連大使なども女性事務総長の必要性を訴えていました。

候補者

正式に指名された候補者は以下の7名です：

• - 潘基文（韓国）
• - シャシ・タルール（インド）
• - ザイド・ラード・アル・フセイン（ヨルダン）
• - スラキアット・サティアンタイ（タイ）
• - ヴァイラ・ヴィーチェ＝フレイベルガ（ラトビア）
• - アシュラフ・ガニー（アフガニスタン）
• - アルフレッド・モラン（モンテネグロ）

立候補の噂もありましたが、多くの有名な政治家が正式には名乗り上げませんでした。その中には、ビル・クリントン元大統領やトニー・ブレア元首相もおり、常任理事国の国民が事務総長に立候補することはできないとの非公式ルールに阻まれていました。

選出

選出プロセスの中で、安全保障理事会は2006年7月から10月にかけて数回の事前投票を行いました。各理事国は候補者に対する評価を無記名で投票し、その結果、潘基文が圧倒的な支持を受けました。最終的に、10月9日に安全保障理事会は潘基文を次期事務総長として勧告し、10月13日には総会で正式に選出されました。

2011年の再選

通常、事務総長は常任理事国が拒否権を行使しない場合、2期目も再選されることが一般的です。潘基文も2011年に2期目に立候補し、無事に再任が決まりました。これにより、彼は2016年末まで事務総長を務めることになりました。

選出プロセスの透明性や公平性についての議論は続いており、将来的には事務総長選出の方法にさらなる改良が求められることでしょう。

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