2006年ブラジルグランプリ

2006年のF1世界選手権最終戦、ブラジルグランプリは、10月22日にインテルラゴス・サーキットで開催されました。

このレースを前に、フェルナンド・アロンソ（ルノー）とミハエル・シューマッハ（フェラーリ）は同ポイントで並んでおり、激しいチャンピオン争いを繰り広げていました。前戦の日本グランプリではアロンソが優勝、シューマッハがリタイアしたため、アロンソが10ポイントリードしていましたが、依然としてどちらがチャンピオンになるかは予断を許さない状況でした。アロンソは8位以内に入賞すればチャンピオン獲得が確定、シューマッハは優勝しアロンソが無得点ならば同点となり、優勝回数でシューマッハがチャンピオンになるという、緊迫した状況でした。また、このレースは、長年F1にスポンサーシップを提供してきた多くのタバコ会社にとって、2007年からのタバコ広告全面禁止を控え、最後のスポンサーシップレースとなりました。フィリップモリス（マールボロ）はブランドロゴの掲出を控える形で翌年もスポンサーを継続しましたが、他のタバコ会社はスポンサーシップを終了しました。

予選では、シューマッハがQ2でトップタイムを記録するも、Q3開始直後のマシントラブルによりタイム計測ができず10番手という結果に終わりました。一方、フェリペ・マッサはQ1とQ3でトップタイムを記録し、地元ブラジルでのポールポジションを獲得しました。フェラーリチームの好調ぶりが印象的な予選となりました。

決勝レースは晴天のドライコンディションのもとスタート。スタート直後は上位陣の順位に変動はありませんでしたが、10番グリッドからスタートしたシューマッハは、積極的に順位を上げ、6位までポジションを向上させました。しかし、レース中盤、ロズベルグのクラッシュによりセーフティーカーが導入されると、レース再開直後の1コーナーでシューマッハはフィジケラと接触。左リアタイヤをバーストさせ、ピットインを余儀なくされ最下位に転落してしまいました。

一方、マッサは独走状態となり、アロンソは2番手を走行。アロンソは後方にバトンとライコネンを引きつけながら、なかなかペースを上げることができず、マッサとの差はさらに広がっていきました。2回目のピットストップ後も順位に変動はなく、アロンソとバトンの2番手争いが激化しました。5番手を走行していたフィジケラは、残り9周でシューマッハにオーバーテイクされ、シューマッハはその後も順位を上げ、ライコネンをパスして4位でフィニッシュしました。

最終的にマッサが優勝。アイルトン・セナ以来のブラジル人ドライバーによるホームグランプリ制覇となりました。2位に入ったアロンソはチャンピオン獲得に必要なポイントを獲得し、見事ワールドチャンピオンに輝きました。3位はバトン、4位はシューマッハとなりました。

レース後、シューマッハはマッサとアロンソを称賛し、長年にわたるフェラーリでのキャリアとチームへの感謝の思いを語りました。

このレースは、アロンソとシューマッハによる激しいチャンピオン争い、マッサの地元での優勝、シューマッハの劇的な追い上げなど、多くのドラマが詰まった、記憶に残るレースとなりました。ファステストラップは70周目にシューマッハが記録した1分12秒162でした。また、ドーンボスはエンジン交換ペナルティによりグリッド降格となりました。

もう一度検索