2010年のテレビ (日本)

2010年のテレビ業界：地デジ化加速と変革の一年

2010年の日本のテレビ業界は、2011年7月のアナログ放送完全終了を翌年に控え、大きな変革の波に洗われました。長寿番組が歴史に幕を下ろす一方、新時代の視聴者を意識した番組が登場。放送局の経営統合や地デジ関連の技術的な進展、そして制作上のトラブルや事故といった様々な出来事が発生した激動の一年でした。

番組編成と主要な動き

年明け、長年親しまれたフジテレビ『新春かくし芸大会』が47年の歴史に幕。NHKでは、大河ドラマ『龍馬伝』がスタートしたほか、連続テレビ小説の放送時間が48年ぶりに繰り上がり、民放ワイドショーに対抗する大型情報番組『あさイチ』が始まりました。

春の改編では、夕方ニュース・情報番組枠で大きな変化がありました。日本テレビは『news every.』を、TBSは『Nスタ』をそれぞれ開始し、現在の夕方ニュース体制の礎を築きました。日本テレビ『おもいッきり』シリーズや『うるぐす』シリーズといった長寿枠の終了も、時代の転換点を象徴する出来事でした。

深夜の人気バラエティがゴールデンに進出する動きも見られ、テレビ朝日の『もしものシミュレーションバラエティー お試しかっ!』、テレビ東京『モヤモヤさまぁ〜ず2』、TBS『飛び出せ!科学くん』などが新たな層を開拓しました。

長寿ドラマでは、TBS『渡る世間は鬼ばかり』が20周年・第10シリーズをもって最終シリーズを迎えました。

視聴率と話題の番組

この年、フジテレビが年間視聴率三冠を7年連続で達成しました。

バンクーバーオリンピックの女子フィギュアスケート中継や年末の『NHK紅白歌合戦』などが高い視聴率を獲得しました。特に紅白歌合戦では嵐の白組司会や桑田佳祐さんの出演が話題となりました。

スポーツ中継では異例の事態が続きました。大相撲野球賭博問題により、NHKが大相撲名古屋場所の生中継を初めて中止。プロ野球日本シリーズでは、地上波での全国中継がない試合が発生するなど、注目度の高いスポーツイベント中継のあり方が問われる出来事となりました。

地デジ移行への進展

翌年の完全移行を控えたこの年は、地デジ化への準備が本格化しました。

多くの番組がアナログ放送で16:9のレターボックス形式に移行し、地デジへの切り替えを促す表示が強化されました。
全国一斉に地デジ化テスト番組が放送され、移行への周知が進みました。
地デジ難視地域向けの衛星放送が始まりました。
石川県珠洲市では、全国に先駆けてアナログ放送が完全に終了しました。
* 地デジ推進のため、NHKと民放のキャラクターが共演する啓発活動が行われました。

放送局・業界の動向とトラブル

業界構造の変化としては、テレビ東京グループが放送持株会社を設立しました。また、番組制作を巡るトラブルも相次ぎました。TBSの報道番組での無断取材や、バラエティ番組収録中の出演者負傷事故、インタビューでのやらせ疑惑、ドラマ表現への抗議など、番組倫理や安全管理が問われる事例が発生しました。放送事故も散発し、アナログ放送停波やデジタル放送の受信障害などが報告されました。

多くの放送局が開局周年を迎え、TBSテレビ55周年、UHF局の40周年など、テレビ放送の歴史を感じさせる年でもありました。

まとめ

2010年は、地デジ化という大きな技術的変革を軸に、番組編成の刷新、視聴率競争、そして制作上の様々な課題が浮き彫りになった、日本のテレビ業界にとって記念碑的かつ波乱含みの一年として記憶されています。

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