2010年のロードレース世界選手権

2010年FIMロードレース世界選手権：スペイン旋風とMoto2新時代の幕開け

2010年のロードレース世界選手権は、第62回大会として数々の歴史的出来事を刻みました。最も顕著な出来事は、MotoGPクラスのホルヘ・ロレンソ、Moto2クラスのトニ・エリアス、125ccクラスのマルク・マルケスと、3クラス全てでスペイン人ライダーがチャンピオンに輝いたことです。これはグランプリ史上初の快挙となりました。

レギュレーション変更とMoto2クラスの導入

この年は、MotoGPクラスの参戦経費抑制のため、大幅なレギュレーション変更が行われました。具体的には、テスト走行距離の削減、長寿命エンジンの導入、ブレーキシステムの変更（カーボンから鋳鉄製へ）、スペアマシンの制限（1台）、金曜プラクティスセッションの廃止などが実施されました。

また、コスト削減と新たな才能の発掘を目的として、ルーキーライダーはワークスチームからの参戦が禁止され、プライベートチームからのデビューが義務付けられました。ただし、サテライトチームを持たないスズキは例外とされました。

250ccクラスに代わって新たに創設されたMoto2クラスは、コスト抑制を重視したレギュレーションが特徴でした。電子制御部品はFIM認可メーカーからの供給に制限され、カーボンブレーキは禁止、スチールブレーキの使用が義務付けられました。一方、シャシーについては制限がなく、モリワキ、テクニカルスポーツ、バーニングブラッドといった日本のメーカーが独自開発したシャシーを供給しました。エンジンはホンダが独占供給する600ccエンジンで、ゲオ・テクノロジー社がメンテナンスを担当しました。タイヤは当初自由選択制が検討されていましたが、最終的にダンロップのワンメイクコントロールタイヤ制が採用されました。Moto2クラス開幕戦を制したのは日本の富沢祥也選手でしたが、第12戦サンマリノGPで事故死するという悲劇に見舞われました。

波乱のグランプリシーズン

2010年シーズンのグランプリは、いくつかの予想外の出来事に見舞われました。当初発表された暫定カレンダーは、その後修正され、チェコGPの開催日程が変更されました。また、ハンガリーGPはバラトンリンクの建設遅延により2年連続でキャンセルとなり、代替開催地としてモーターランド・アラゴンが選ばれました。さらに、アイスランドの火山噴火による大規模な空路封鎖の影響で、日本GPは当初予定から大幅に延期され、10月に開催されることとなりました。

ポイントシステムとランキング

ポイントシステムは上位15名にポイントが与えられるもので、完走が条件でした。ライダーズランキング、マニュファクチャラーズランキングともに、MotoGP、Moto2、125ccの各クラスで競われました。各クラスのランキングには、ルーキー・オブ・ザ・イヤー候補や、ウェットレースの情報なども含まれていました。

エントリーリストとタイヤサプライヤー

MotoGPクラスには17チーム、Moto2クラスには39チーム、125ccクラスには27チームのエントリーがありました。MotoGPクラスは全チームがブリヂストンタイヤを使用し、Moto2と125ccクラスはダンロップタイヤを使用しました。Moto2クラスでは、当初リザーブとして登録されていた選手が、他のチームの参戦断念により繰り上がりで正式参戦を果たすケースもありました。

2010年シーズンは、レギュレーション変更、新クラスの導入、そしてスペイン人ライダーたちの活躍など、数々の話題を提供したシーズンとなりました。富沢祥也選手の事故死という痛ましい出来事も、このシーズンの記憶に深く刻まれています。

もう一度検索