2011年のインディカー・シリーズ

2011年のインディカー・シリーズは、シリーズ開始から16年目を迎えたシーズンでした。前年と同じ17レースが開催される予定でしたが、いくつかの変更点がありました。まず、テキサス・モータースピードウェイでは、インディカー史上初の275マイル×2のダブルヘッダー方式が採用されました。これは、1イベントで2レースを行うことを意味します。

長らく開催権料の問題でスケジュールから外れていたミルウォーキー・マイル、11年ぶりの復活となるラスベガス・モータースピードウェイ、そして13年ぶりのニューハンプシャー・モータースピードウェイがレースに復帰しました。さらに、ボルチモア市街地コースでは初開催が行われ、開催コースのバリエーションに富んだシーズンとなりました。前年はロードコースとオーバルコースが交互に開催される傾向がありましたが、2011年シーズンは、その法則が一部崩れています。

この年はインディ500が第1回開催から100周年という節目を迎えました。しかし、カンザス・スピードウェイ、ワトキンス・グレン・インターナショナル、シカゴランド・スピードウェイ、ホームステッド＝マイアミ・スピードウェイは、同じ運営会社によって運営されていたにも関わらず、スケジュールから外れました。

エドモントンでのレース開催は、当初予算上の問題で危ぶまれていましたが、最終的には予算が確保され、開催されることになりました。一方、ツインリンクもてぎでのレースは、このシーズンをもって終了となりました。さらに、もてぎでは当初オーバルコースでの開催が予定されていましたが、東日本大震災によるコースの被災状況を考慮し、ロードコースでの開催に変更されました。

タイヤ供給に関しては、ファイアストン（ブリヂストン傘下）がインディカーとの契約面で一時的に合意できず、今シーズン限りでの撤退を発表しました。しかし、その後交渉が成立し、2012年以降もタイヤ供給が継続されることになりました。

2011年シーズンから、全レースのリスタートにおいて2列編成で行う「ダブルファイル・リスタート」が導入されました。テキサスでの2レース制では、第1レースのスタート順位は予選順位通りでしたが、第2レースはくじ引きで決定されました。ケンタッキー・スピードウェイで開催された第16戦では、エド・カーペンターが史上6番目に短い0.0098秒差で優勝しました。

しかし、シーズン最終戦となったラスベガス・インディ300では、レース序盤に15台が絡む大規模な事故が発生しました。この事故でダン・ウェルドンが死亡するという悲劇的な出来事が起きました。1996年のインディカー・シリーズ開始以来4例目となる死亡事故であり、レース中の死亡事故としては初めてのことでした。ウェルドンは、同年のインディ500で最終周最終コーナーでクラッシュしたJ.R.ヒルデブランドを逆転し、優勝を果たしていました。

このシーズンのシリーズチャンピオンはダリオ・フランキッティが3年連続で獲得し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーにはジェームズ・ヒンチクリフが選ばれました。ポイントランキングには、ポールポジション獲得に1ポイント、最多リードラップに2ポイントのボーナスポイントが加算されました。テキサスの2レース制では、レースポイントは通常の半分となり、ポールポジションポイントは第1レース前の予選のみに、最多リードラップポイントは両レースにそれぞれ2ポイントずつ与えられました。インディ500の予選では、上位12名にポイントが与えられ、予選落ちしたドライバーもポイントを獲得するケースがありました。同ポイントの場合は、上位回数が多い方が上位となります。

2011年シーズンは、様々な出来事が凝縮された、記憶に残るシーズンとなりました。新たな挑戦と悲劇、そして新たなスターの誕生など、多くのドラマが展開されました。このシーズンは、インディカー・シリーズの歴史において、重要な転換期の一つと言えるでしょう。

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