2011年温州市鉄道衝突脱線事故

2011年温州市鉄道衝突脱線事故の概要

2011年7月23日午後8時34分頃、中国浙江省温州市で、高速鉄道の列車同士が衝突・脱線する事故が発生しました。この事故は、甬台温線（杭福深旅客専用線の一部）の高架橋上で起きました。

事故当時、杭州発福州南行きのD3115列車（CRH1B型）は、落雷の影響で動力を失い、高架橋上のトンネル手前で停車していました。そこに、北京南発福州行きのD301列車（CRH2E型）が追突しました。

D301列車の先頭4両と、D3115列車の15両目と16両目が脱線し、D301列車の先頭車両は高架から落下しました。この事故により、温州市政府の発表では40名が死亡したとされています。

事故原因

事故調査の結果、LKD2-T1型制御システムの重大な欠陥が判明しました。落雷により制御システムが故障し、進行信号のまま区間が閉塞されました。D3115列車は緊急停止しましたが、システムのエラーにより目視走行モードに切り替えることができず、立ち往生しました。

さらに、落雷による故障で輸送指令とD3115列車との連絡が途絶え、現場の状況が把握できない状況でした。その間、後続のD301列車は出発指示を受け、閉塞区間への進入時に目視走行が指示されましたが、D3115列車への追突を回避できませんでした。

また、同時期には別の列車も落雷により故障しており、事故当時、周辺の鉄道システムが混乱していたことが伺えます。

事故後の対応

事故後、中国政府は犠牲者への賠償金を決定しましたが、その金額に対する批判が相次ぎました。また、事故車両が事故現場に埋められたこと、報道規制が敷かれたことなどから、情報隠蔽の疑惑が浮上し、国内外から多くの批判が寄せられました。

その後、埋められた車両は掘り起こされ、調査が行われましたが、事故原因の究明に関する報道はほとんどなされませんでした。温家宝首相（当時）は事故原因の徹底的な究明を約束しましたが、事故の真相は曖昧なまま、関係者の処分のみが発表されました。

メディアの反応

事故に対する中国政府の対応や、情報隠蔽疑惑に対して、中国国内のメディアも批判的な論調を展開しました。特に、南方都市報が「クソが！」という過激な言葉を用いて鉄道部を批判したことは、大きな反響を呼びました。

また、中国共産党の広報部門が、脱線事故に関する報道を規制する命令を出したと報道されたことから、政府が批判的な意見を恐れているのではないかという憶測を呼びました。

まとめ

2011年の温州市鉄道衝突脱線事故は、落雷によるシステム故障が原因で発生した、痛ましい事故でした。事故後の対応や情報隠蔽疑惑は、中国国内だけでなく、国際社会からの批判を招きました。この事故は、中国の鉄道システムの安全管理に対する信頼性を大きく揺るがす出来事となりました。

脚注

中国高速鉄道CRH1型電車（和諧号）
中国高速[[鉄道CRH2型電車]]（和諧号）
中華人民共和国の高速鉄道
エシェデ鉄道事故
中華人民共和国の鉄道事故
鉄道事故

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