2011年-2012年のネットワークテレビ (アメリカ合衆国)

2011年-2012年のアメリカ合衆国ネットワークテレビ

この項目では、2011年9月から2012年8月にかけてのアメリカ合衆国における主要な英語テレビネットワーク（ABC, CBS, The CW, Fox, NBC）のプライムタイム番組編成および視聴者数に関する状況をまとめます。各ネットワークは2011年5月中旬に次期シーズン（2011年-2012年シーズン）のプライムタイム・スケジュールを一斉に発表し、NBCを皮切りに順次公開されました。また、シーズン途中で変更されるミッドシーズン編成についても、The CWが最初に発表するなど、各局が改編を行いました。なお、再放送が中心であったMyNetworkTVやIon Television（一部の例外を除く）、地域局によって編成が異なるPBSについては、本稿の対象外とします。

ネットワーク視聴率ランキング

2011年9月から2012年5月までの通常シーズンにおけるプライムタイムのネットワーク視聴率ランキングでは、Foxが18-49歳層で驚異的な8シーズン連続首位を達成しました。Foxは看板番組であった『アメリカン・アイドル』の視聴率が前シーズンから大きく低下し、さらに前シーズンに担当した『スーパーボウル』中継がNBCに移った影響でシーズン平均視聴者数は減少しましたが、新オーディション番組『The X Factor』が安定した視聴者を獲得し、また新コメディ『New Girl / ダサかわ女子と三銃士』が成功したことが、シーズン終盤での首位維持に貢献しました。

前シーズンと比較して、18-49歳層および総合視聴者数の両面で成績を向上させたのは、CBSとNBCのみでした。特にNBCは、このシーズンの『スーパーボウル』中継を担当したことに加え、『Sunday Night Football』がシーズンを通して全ネットワーク番組中でトップの視聴率を記録するなどスポーツ中継が好調でした。これらの要因がNBCの成績を押し上げ、8年ぶりにネットワークランキングで3位に浮上、ABCを抜く結果となりました。

一方、ABCは新ドラマ『ワンス・アポン・ア・タイム』が好評を得ましたが、『Dancing with the Stars』といった既存のベテラン番組の視聴率が伸び悩んだ影響もあり、やや成績を落として4位に後退しました。最も厳しいシーズンとなったのはThe CWで、18-49歳層で22%、総合視聴者数で15%と大幅に視聴者数を減らしました。これは、主に若い視聴者層がデジタルプラットフォームへと流出している傾向が反映されたものと見られています。

番組編成とスケジュールの特徴

プライムタイムの放送時間は、生中継イベントや特別番組を除き、通常は東部時間と太平洋時間で共通のスケジュールが組まれます。中部および山岳部では、それより1時間早い時刻に放送されます。また、夏季には通常の番組が特別編成や夏向けシリーズに差し替えられることもあります。特に2012年夏には、NBC系列でロンドンオリンピックが開催されたため、大会期間中は多くの通常番組がオリンピック中継のために休止となりました。

新番組の評価と継続・打ち切り

このシーズンに新たに開始された多くのドラマやコメディ番組の中で、視聴者の支持を得て追加エピソードやフルシーズン制作が決定した番組も少なくありませんでした。ABCでは『Happy Endings』、『Last Man Standing』、『ワンス・アポン・ア・タイム』、『リベンジ』などが、CBSでは『NYボンビー・ガール』、『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』、『アンフォゲッタブル 完全記憶捜査』などがフルシーズン化されました。The CWの『ハート・オブ・ディクシー ドクターハートの診療日記』、『リンガー 〜2つの顔〜』、『シークレット・サークル』も早期にフルシーズン化が決定しました。Foxの『New Girl / ダサかわ女子と三銃士』は最初から合計24話が発注され、NBCでは『GRIMM/グリム|GRIMM_グリム』、『ハリーズ・ロー 裏通り法律事務所』などがフルシーズン制作となりました。

しかしながら、厳しい視聴率競争の中で早期に打ち切りとなった新番組も多数存在しました。ABCでは、期待された『新チャーリーズ・エンジェル』がわずか4話で打ち切りとなり、低視聴率や論争を呼んだコメディ『Work It』は2話で終了という異例の事態となりました。NBCの『The Playboy Club』は、3話で打ち切りとなり、このシーズンの打ち切り第1号となりました。その他、CBSの『How to Be a Gentleman』も早期に打ち切りとなり、多くの新番組が最初のシーズンを終えることなく姿を消しました。

継続が決定した主な番組

既存の人気シリーズの多くは、次シーズン以降の継続が決定しました。ABCでは『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』、『モダン・ファミリー』、『キャッスル 〜ミステリー作家は事件がお好き』などが、CBSでは『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則|ビッグバン★セオリー_ギークなボクらの恋愛法則』、『NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班』、『CSI:科学捜査班』、『メンタリスト』などが継続。特に『ビッグバン★セオリー』は2013年-2014シーズンまでの複数シーズン継続が早期に発表されました。The CWでは『ヴァンパイア・ダイアリーズ』、『スーパーナチュラル』、『ゴシップガール』（最終シーズン決定）などが継続。Foxでは『ザ・シンプソンズ』（2013年-2014シーズンまで継続）、『アメリカン・アイドル』、『glee/グリー』などが、NBCでは『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』、『The Office』、『30 ROCK/サーティー・ロック|30 ROCK_サーティー・ロック』（最終シーズン決定）などが継続放送となりました。これらの番組は、各ネットワークの安定した視聴率を支える柱となりました。

打ち切りとなった主な番組

一方で、長年親しまれた人気シリーズもこのシーズンで幕を閉じました。ABCの『デスパレートな妻たち』は8シーズンをもって終了し、最終回が放送されました。CBSの『CSI:マイアミ』は10シーズンにわたる歴史に終止符を打ち、CSIシリーズとしては初の打ち切りとなりましたが、ネットワークへの貢献が称えられました。Foxの『Dr.HOUSE』も8シーズンで終了が決定し、最終回を迎えました。その他、フルシーズン化されたものの継続に至らなかったNBCの『ハリーズ・ロー 裏通り法律事務所』、The CWの『リンガー 〜2つの顔〜』や『シークレット・サークル』など、新旧様々な番組がこのシーズンで放送を終了しました。また、ABCの『クーガータウン』は打ち切りではなく、ケーブル局のTBSへ移行するという珍しいケースも見られました。

この2011年-2012年シーズンは、新たなヒット番組が生まれる一方で、長寿シリーズの終了や多数の新番組の打ち切りが見られ、特にNBCの復調が注目されるなど、ネットワーク間の競争が激しく展開された一年でした。

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