2012年フランス大統領選挙

2012年フランス大統領選挙：オランドの勝利とその後

2012年5月6日、フランス大統領選挙の決選投票で社会党のフランソワ・オランドが、与党国民運動連合の現職ニコラ・サルコジ大統領を破り、フランス大統領に当選しました。これは、1995年にフランソワ・ミッテラン氏が退任して以来17年ぶりの社会党政権誕生となりました。本稿では、この選挙の詳細な経緯と結果、そしてその後について解説します。

選挙の背景と争点

この選挙は、欧州金融危機が深刻化する中、雇用問題と経済政策が最大の争点となりました。サルコジ大統領は緊縮財政路線を堅持し、財政規律の強化を訴えました。一方、オランドは雇用創出や公共投資の拡大を主張し、サルコジ政権の経済政策と真っ向から対立しました。

ユーロ圏における主要国の選挙であったため、その結果はヨーロッパ全土に大きな影響を与えるとして、国内外から大きな注目を集めました。さらに、サルコジ政権に対する国民の信任投票としての意味合いも強く、10％に達した高失業率への国民の不満が、大きな政治的要因の一つでした。また、サルコジ大統領の個人的な資質や言動も、選挙戦における重要な争点となりました。

選挙日程と立候補者

選挙は、2012年2月25日に実施が宣言され、3月16日が立候補に必要な500名以上の推薦人署名提出期限でした。その後、3月19日に立候補が認められた候補者リストが発表され、4月9日から選挙運動が始まりました。4月22日に第1回投票、5月6日に決選投票が行われ、5月10日に開票結果が発表、5月16日にサルコジ大統領の任期が満了しました。

大統領選挙への立候補には、厳しい要件がありました。18歳以上のフランス国民であれば被選挙権はありますが、泡沫候補の乱立を防ぐため、最低でも500名の推薦人（市町村長、欧州議会議員、国会議員など）の署名が必要とされました。最終的に10名が立候補を認められました。元首相のフランソワ・フィヨンや、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペンなども立候補しました。

選挙戦の流れ

第1回投票前

選挙戦序盤の世論調査では、オランドがサルコジをリードしていました。しかし、3月に発生したミディ＝ピレネー連続銃撃事件を受け、治安問題が争点として浮上すると、サルコジの支持率が上昇しました。一方、欧州金融危機による社会の閉塞感から、二大政党への不満も高まっており、極左や極右候補への支持も一定数ありました。

第1回投票の結果

第1回投票では、オランドが28.6%、サルコジが27.2%と僅差で、オランドが1位、サルコジが2位となりました。国民戦線のルペン候補も17.9%を獲得し、決選投票への影響が懸念されました。

第2回投票前

決選投票を前にした世論調査では、オランドがサルコジをリードを維持していました。ルペンの支持者の多くはサルコジ支持に回る見込みでしたが、ルペン自身はどちらの候補も支持せず、自由投票を呼びかけました。左派や中道候補はオランド支持を表明し、サルコジにとって不利な状況となりました。

第2回投票と結果

5月6日に行われた決選投票で、オランドは51.67%の得票率で勝利しました。現職大統領の敗北は、1981年のヴァレリー・ジスカール・デスタン以来31年ぶりでした。

選挙後の展開

オランドの当選後、6月に行われた議会総選挙でも、社会党が安定多数を確保しました。一方、サルコジ陣営は選挙資金の不正使用疑惑が浮上し、2021年9月には、法定上限を超える選挙費用を使用したとして、サルコジは禁錮1年の実刑判決を受けました。

まとめ

2012年のフランス大統領選挙は、欧州金融危機下の経済政策、治安問題、そして政治家の資質など、多くの争点が絡み合った激戦でした。オランドの勝利は、社会党の復活と、緊縮財政路線への国民の反発を示す結果となりました。また、国民戦線のルペン候補の躍進は、フランス政治における新たな勢力の台頭を印象づけたといえるでしょう。

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